田中聡

批評・論考

ゴミ収集労働における「相互承認」と「追跡調査可能性」(一)

田中聡  2015年3月30日、大田区大森清掃事務所西分室の建物の前にての私のゴミ収集作業員制服姿) 〈0〉導入 以下において、実際に私が東京都23区のいくつかの区のゴミ収集の清掃労働(ここで清掃労働という時は、ゴミ収集を意味する)のお仕事...
批評・論考

『本当の音?本当の生(LIFE)?本当の時間?』—追悼・坂本龍一—(ニ)

田中聡  〈3〉始まった途端に終わっているようなものだった  坂本龍一さんは「月刊カドカワ」1988年7月号(角川書店)に掲載されたご自身のエッセイで、リニアな時間について、以下のように述べている。 「子供のときから、僕の音楽は、始まった途...
エッセイ

『本当の音?本当の生(LIFE)?本当の時間?』—追悼・坂本龍一—(一)

田中聡 〈0〉導入—「時間」という通奏低音 本年3月28日に亡くなられた坂本龍一さんは、音楽の多様な分野に、多彩な仕事を、それなりの完成度で残し、様々な刺激と創造の種子を残した。そうであるにも関わらず、何か未完成なものが残された気がするのは...
批評・論考

『ギリヤークさんと大拙』試論(三)-2020年・横浜港公演をきっかけにして-

田中聡 左がギリヤーク尼ヶ崎さん、右が筆者 〈5〉「個人的生命の宇宙的生命に対する関係を感得す。」     大拙(=鈴木大拙)、そしてギリさん(=ギリヤーク尼ヶ崎)の中には、東洋的な「一」とも言うべきものが脈打っている。  そしてそれはまず...
批評・論考

『ギリヤークさんと大拙』試論(二)-2020年・横浜港公演をきっかけにして-

田中聡 左がギリヤーク尼ヶ崎さん、右が筆者  本稿は、「まどか通信」フェニックス3月号に掲載された拙稿「『ギリヤークさんと大拙』試論(一)-2020年・横浜港公演をきっかけにして-」を引き継ぐものです。  前回は私がギリさんから直接お聞きし...
批評・論考

『ギリヤークさんと大拙』試論(一)-2020年・横浜港公演をきっかけにして-

田中聡 左がギリヤーク尼ヶ崎さん、右が筆者 【序章】 〈0〉導入  2020年10月11日、横浜港は横浜大桟橋国際客船ターミナルの屋上で、午後2時からの1時間余り、大道芸人・舞踊家のギリヤーク尼ヶ崎さん(当時90歳)(以下、ギリさんと略す)...
批評・論考

反抗期とテクノポップについての覚え書き(2)—「型に嵌ること」をめぐって—

田中聡  私は2016年2月12日に、東京都現代美術館に『Tokyo』展を観に行った。 YMOという切り口から1980年代の東京をまず捉え、そこで得られたものが、現代の東京にどう引き継がれているのか? そんな視点を持ったこの展覧会で私が印象...
批評・論考

反抗期とテクノポップについての覚え書き(1)ー「型に嵌ること」をめぐってー

田中聡 今自分(1969年生まれ)が思索し、模索していることの起源は、自分の10歳位から17歳位の時期の精神的遍歴にある。  時々自分が何者か、分からなくなる時、そうした起源をもう一度十分に吟味したくなる。 なぜ、自分は免疫系の自己区別にこ...