文学 生き物ソネット三篇 飯島章嘉 鷹 荷を負う人々の足裸足の足裏に小石のむごく食い込むしかし頓着はない人々が見上げているのは一羽の鷹苦役に口を開き前後の者を探す目は黄色い荷の重さは一刻一刻と肩を歪め頭上に日はないが鷹はいる鷹よ お前は眼下の営みを解さない しかし... 2024.06.23 文学飯島章嘉
文学 「ケム―ル人」 飯島 章嘉ケム―ル人・・・空想上の宇宙人。テレビシリーズ「ウルトラQ」に登場してからたびたび「ウルトラ・シリーズ」に出没している。細身の身体は縮小したり、また巨大になったりもできる。細い四肢としなびた茄子のような頭部を持っており、その頭部の... 2024.01.26 文学飯島章嘉
文学 三つのソネット 飯島章嘉 Ⅰ. 詩人の憂鬱我々は我々のもっとも好む方法で詩をつくるが死はつくり出せない我々は泡を吹く蟹のように横ばいになりかなしむ詩人の憂鬱について我々は充分に討議しあったしかし死人の快楽については沈黙するしかなかった思えば千の毒の致死量... 2023.11.29 文学飯島章嘉
文学 詩とイラスト「その都市」 飯島章嘉ⅰその都市は極めて奇妙な特徴を持っているすべての建築物は窓を持たず、扉すらない従ってその都市を俯瞰すると一見広大な墓地を見るようであるしかしどの建築物も天を衝く高層ビルだから道路から見上げるビル群は銀色の光を蒼穹に反射させ神々しさを... 2023.09.28 文学飯島章嘉
文学 書かれた―家族 飯島章嘉ⅰ死を教える祖母墓地に立つ祖父逃げる父母は捨てた兄は堕ちた姉は隠した叔母の匂いと色子供は愛されている?ⅱ高い水草の生える湿地帯で生まれた男や女は高い水草の生える湿地帯で外を向いて車座になったここに家族が始まる父と呼ばれる者 それは逃... 2023.08.05 文学飯島章嘉
文学 書かれた―祖父 「家族譜」より 飯島章嘉繰り返し 繰り返される夢祖父という見た事の無いもの二度と見る事の無いもの無いものへの信仰不知への限りない接近と離脱長押に上がった肖像の夢不知への限りない接近と離脱無いものへの信仰二度と見る事の無いもの祖父という見た事の無いもの繰り返... 2023.06.24 文学飯島章嘉
文学 書かれた―祖母 「家族譜」より 飯島章嘉まず死を見に行くここから始るコントロール出来る死をいただく痴呆症の祖母から空き家の前の側溝でつまずく湿地帯とくねる道に隠される祖母空き家の前の側溝でつまずく痴呆症の祖母からここから始るコントロール出来る死をいただくまず死を見に行く ... 2023.05.26 文学飯島章嘉
文学 書かれた―叔母 「家族譜」より 飯島章嘉 耳の後ろが赤く膨れ上がり朝焼けのように蕁麻疹が広がる意味の分からない恐怖をかんじる湿地帯の高い草の中で白い水鳥の環視の中で叔母は叫び声をあげる白い水鳥の環視の中で湿地帯の高い草の中で恐怖をかんじる意味の分からない蕁麻疹が広がる朝焼... 2023.04.30 文学飯島章嘉
文学 詩二篇『家族譜』より「書かれた―姉」「書かれた―兄」 飯島章嘉書かれた―姉 「家族譜」より墓地へ駆けてゆく姉を二階の窓から見た学校の制服を隠したのを姉のほこり臭い制服血の付いた便器にしゃがんだ汗のにじむ掌で鈍く赤い姉の隠し持つ勾玉汗のにじむ掌で鈍く赤い血の付いた便器にしゃがんだ姉のほこり臭い... 2023.04.02 文学飯島章嘉
エッセイ 意外な自分を知る時間~アートセラピーのワークショップに参加して 飯島章嘉 *まどか研究所「アートセラピー実験工房」の中で、「かちかち山」をテーマに描かれたクレヨン画。 なんだかワクワクしながら、木曜日の午後七時からの時間を過ごさせてもらいました。その時間がアートセ... 2023.03.28 エッセイ飯島章嘉
文学 詩二篇『家族譜』より「書かれた―母」「書かれた―父」 飯島章嘉書かれた―母 「家族譜」より母は 捨てる真昼に閉じた雨空へ捨てる滑空する白色の鳥が堕ちる所そこに堕ちる母のものを捨てる湿地帯に隠された 母の書いたものそこに堕ちる母のものを捨てる滑空する白色の鳥が堕ちる所真昼に閉じた雨空へ捨てる母... 2023.02.21 文学飯島章嘉
文学 詩「生き物ソネット」四篇 飯島章嘉第一篇 犬転がる空き缶を追う犬犬は追う生き物だしかし犬は追わない目前の暗闇を餌の残りを掘った穴に隠す犬犬は穴を掘る生き物だしかし犬は掘らない飼い主の墓穴をわたしはそれを不誠実だと考える少なくともわたしだったら目前に在るものはすべて追... 2023.01.29 文学飯島章嘉
文学 詩)旅の途中で 飯島章嘉いつの間にか 来てしまったここへ聞こえる誰かの呼ぶ声声、音の震えが日差しを揺らしている風?風ではない声 声が流れてせせらぎに浮かぶ草の葉をなぶる水か 水ではない。それは水の声私の声もう聞こえない何もしかし日差しが揺れている 風?せせ... 2022.11.25 文学飯島章嘉