飯島章嘉

文学

「ケム―ル人」

飯島 章嘉 ケム―ル人・・・空想上の宇宙人。テレビシリーズ「ウルトラQ」に登場してからたびたび「ウルトラ・シリーズ」に出没している。細身の身体は縮小したり、また巨大になったりもできる。細い四肢としなびた茄子のような頭部を持っており、その頭部...
文学

三つのソネット

飯島章嘉  Ⅰ.  詩人の憂鬱 我々は我々のもっとも好む方法で詩をつくるが 死はつくり出せない 我々は泡を吹く蟹のように 横ばいになりかなしむ 詩人の憂鬱について 我々は充分に討議しあった しかし死人の快楽については 沈黙するしかなかった ...
文学

詩とイラスト「その都市」

飯島章嘉 ⅰ その都市は極めて奇妙な特徴を持っている すべての建築物は窓を持たず、扉すらない 従ってその都市を俯瞰すると 一見広大な墓地を見るようである しかしどの建築物も天を衝く高層ビルだから 道路から見上げるビル群は銀色の光を蒼穹に反射...
文学

書かれた―家族

飯島章嘉 ⅰ 死を教える祖母 墓地に立つ祖父 逃げる父 母は捨てた 兄は堕ちた 姉は隠した 叔母の匂いと色 子供は愛されている? ⅱ 高い水草の生える湿地帯で生まれた男や女は 高い水草の生える湿地帯で外を向いて車座になった ここに家族が始ま...
文学

書かれた―祖父  「家族譜」より

飯島章嘉 繰り返し  繰り返される夢 祖父という見た事の無いもの 二度と見る事の無いもの 無いものへの信仰 不知への限りない接近と離脱 長押に上がった肖像の夢 不知への限りない接近と離脱 無いものへの信仰 二度と見る事の無いもの 祖父という...
文学

書かれた―祖母  「家族譜」より

飯島章嘉 まず死を見に行く ここから始る コントロール出来る死をいただく 痴呆症の祖母から 空き家の前の側溝でつまずく 湿地帯とくねる道に隠される祖母 空き家の前の側溝でつまずく 痴呆症の祖母から ここから始る コントロール出来る死をいただ...
文学

書かれた―叔母  「家族譜」より

飯島章嘉   耳の後ろが赤く膨れ上がり 朝焼けのように 蕁麻疹が広がる 意味の分からない 恐怖をかんじる 湿地帯の高い草の中で 白い水鳥の環視の中で 叔母は叫び声をあげる 白い水鳥の環視の中で 湿地帯の高い草の中で 恐怖をかんじる 意味の分...
文学

詩二篇『家族譜』より「書かれた―姉」「書かれた―兄」

飯島章嘉 書かれた―姉  「家族譜」より 墓地へ駆けてゆく 姉を二階の窓から見た 学校の制服を隠したのを 姉のほこり臭い制服 血の付いた便器にしゃがんだ 汗のにじむ掌で鈍く赤い 姉の隠し持つ勾玉 汗のにじむ掌で鈍く赤い 血の付いた便器にしゃ...
エッセイ

意外な自分を知る時間~アートセラピーのワークショップに参加して

飯島章嘉                    *まどか研究所「アートセラピー実験工房」の中で、「かちかち山」をテーマに描かれたクレヨン画。    なんだかワクワクしながら、木曜日の午後七時からの時間を過ごさせてもらいました。その時間がアー...
文学

詩二篇『家族譜』より「書かれた母」「書かれた父」

飯島章嘉 書かれた―母  「家族譜」より 母は 捨てる 真昼に閉じた雨空へ捨てる 滑空する白色の鳥が堕ちる所 そこに堕ちる母のものを捨てる 湿地帯に隠された 母の書いたもの そこに堕ちる母のものを捨てる 滑空する白色の鳥が堕ちる所 真昼に閉...