北條立記 小説風エッセイ『心象の中の少女』 北條立記 自分には、心象の中の傷付いた少女というのがいる。 ヨーロッパの心中映画では、最後はピストル自殺だ。ベッドサイドで恋人を撃ち、男性は彼女をやさしく寝かせ付け、その横に自分が横たわり、こめかみを撃つ。 私の考える心中は、そういう... 北條立記文学
エッセイ 思い出エッセイ「川辺のビキニ」 西之森涼子 子供達の夏休みもとうに終わったというのに、今年の猛暑は長く夏はこのまま終わらないのではないかという錯覚に陥った。 通勤経路を急ぐ朝、ヒラヒラと舞い落ちる木々の葉を目にして空を見上げると夏の青さとは違う水色の秋の空に気付いた。... エッセイ西之森涼子
南清璽 連載小説『天女』第七回 南清璽 「待って下さる?」 その声には幾分か重みがあった。でも、これは聞こえがいい様に言ったまでで、もう年増にかかろうとしている年頃だったから、生娘の様な声は持っていなかったのだ。だが、その声の深みには、何某かの知性を感じた。彼女には正... 南清璽文学
原田広美 『夢十夜』で漱石を癒す(2) 原田広美 *第二夜 「こんな夢を見た。/侍(さむらい)なら悟れぬはずはなかろう。/そう何日(いつ)までも悟れぬところを以(もつ)て見ると、御前(おまえ)は侍ではあるまい。人間の屑(くず)じゃ。/口惜(くや)しければ悟った証拠(しようこ)を... 原田広美批評・論考
原田成志 F・パールズ自伝『記憶のゴミ箱』ゲシュタルトセラピー創始者/新曜社/訳者あとがき(後半) 原田成志 ゲシュタルトセラピーは、フリッツ・パールズ、ローラ・パールズ、ポール・グッドマンの3人によって形作られた。 K・ホーナイ、W・ライヒに分析を受け、左翼的精神分析家グループとしてベルリンで活動していたフリッツ・パールズは、193... 原田成志批評・論考
エッセイ マミのA4一枚、こころのデトックス(9) 矢野マミ 24. 虚飾の人 ここ数年、「拒食症」「元・拒食症」の人と同じ職場で働く機会が増えた。若いころにはなかったことだ。21世紀になってから「拒食症」の人が増えているのか、この仕事を志向する人に「拒食症」の人が多いのか、人手不足で職場... エッセイ矢野マミ
山田浩貴 芸術体験とアジールに関する試論 山田 浩貴 【アジール(ドイツ語 Asyl)】 意味:聖域、平和領域、避難所。犯罪者、負債者、奴隷などが逃げ込んだ場合に保護を得られる場所。 以下、「アジール」という言葉を、一般的ではなく拡張された意味において使っている。 CG制作::山田... 山田浩貴批評・論考
エッセイ 「最後の花火」——フジファブリック『若者のすべて』にきこえる自己予言 山田 浩貴 日本のバンド、フジファブリックが演奏する『若者のすべて』は、志村正彦(1980年7月10日~2009年12月24日、29歳没)が作詞・作曲した楽曲である。志村はこのバンドでボーカルとギターを担当していた。 Youtube ↑ク... エッセイ山田浩貴
ゴーレム佐藤 夢日記『ぐるぐる』 ゴーレム佐藤 壁がね動いてるんです。ウルトラQのオープニングが極彩色になった感じで。逆に動いてないものがないんです。ワタシ以外の全てが渦を巻いて動いてるんです。ワタシは動けないんです。次第にクダから入ってくる酸素の分子までもが動き回ってる... ゴーレム佐藤文学
山本幸生 「西洋」について」(5) (英国に関して) 山本幸生 私はかつて「政治」というものに大いに関心を持っていた時期があり、ほんのいっとき、ある種の「政治活動」をやっていたことすらあるのだが、その中でごく自然に?出会ったのが「イギリス」というものだった。 まあ要するに、政治学の歴史みた... 山本幸生批評・論考