北條立記 小説風エッセイ『心象の中の少女』 北條立記 自分には、心象の中の傷付いた少女というのがいる。 ヨーロッパの心中映画では、最後はピストル自殺だ。ベッドサイドで恋人を撃ち、男性は彼女をやさしく寝かせ付け、その横に自分が横たわり、こめかみを撃つ。 私の考える心中は、そういうもので... 2023.09.30 北條立記文学
エッセイ 思い出エッセイ「川辺のビキニ」 西之森涼子 子供達の夏休みもとうに終わったというのに、今年の猛暑は長く夏はこのまま終わらないのではないかという錯覚に陥った。 通勤経路を急ぐ朝、ヒラヒラと舞い落ちる木々の葉を目にして空を見上げると夏の青さとは違う水色の秋の空に気付いた。 自... 2023.09.30 エッセイ西之森涼子
南清璽 連載小説『天女』第七回 南清璽 「待って下さる?」 その声には幾分か重みがあった。でも、これは聞こえがいい様に言ったまでで、もう年増にかかろうとしている年頃だったから、生娘の様な声は持っていなかったのだ。だが、その声の深みには、何某かの知性を感じた。彼女には正直な... 2023.09.30 南清璽文学
原田広美 『夢十夜』で漱石を癒す(2) 原田広美*第二夜 「こんな夢を見た。/侍(さむらい)なら悟れぬはずはなかろう。/そう何日(いつ)までも悟れぬところを以(もつ)て見ると、御前(おまえ)は侍ではあるまい。人間の屑(くず)じゃ。/口惜(くや)しければ悟った証拠(しようこ)を持っ... 2023.09.30 原田広美批評・論考
原田成志 F・パールズ自伝『記憶のゴミ箱』ゲシュタルトセラピー創始者/新曜社/訳者あとがき(後半) 原田成志 ゲシュタルトセラピーは、フリッツ・パールズ、ローラ・パールズ、ポール・グッドマンの3人によって形作られた。 K・ホーナイ、W・ライヒに分析を受け、左翼的精神分析家グループとしてベルリンで活動していたフリッツ・パールズは、1934年... 2023.09.30 原田成志批評・論考
エッセイ マミのA4一枚、こころのデトックス(9) 矢野マミ24. 虚飾の人 ここ数年、「拒食症」「元・拒食症」の人と同じ職場で働く機会が増えた。若いころにはなかったことだ。21世紀になってから「拒食症」の人が増えているのか、この仕事を志向する人に「拒食症」の人が多いのか、人手不足で職場もそ... 2023.09.29 エッセイ矢野マミ
山田浩貴 芸術体験とアジールに関する試論 山田 浩貴【アジール(ドイツ語 Asyl)】意味:聖域、平和領域、避難所。犯罪者、負債者、奴隷などが逃げ込んだ場合に保護を得られる場所。以下、「アジール」という言葉を、一般的ではなく拡張された意味において使っている。CG制作::山田 浩貴 ... 2023.09.29 山田浩貴批評・論考
エッセイ 「最後の花火」——フジファブリック『若者のすべて』にきこえる自己予言 山田 浩貴 日本のバンド、フジファブリックが演奏する『若者のすべて』は、志村正彦(1980年7月10日~2009年12月24日、29歳没)が作詞・作曲した楽曲である。志村はこのバンドでボーカルとギターを担当していた。Youtube↑クリック... 2023.09.29 エッセイ山田浩貴
ゴーレム佐藤 夢日記『ぐるぐる』 ゴーレム佐藤 壁がね動いてるんです。ウルトラQのオープニングが極彩色になった感じで。逆に動いてないものがないんです。ワタシ以外の全てが渦を巻いて動いてるんです。ワタシは動けないんです。次第にクダから入ってくる酸素の分子までもが動き回ってるこ... 2023.09.29 ゴーレム佐藤文学
山本幸生 「西洋」について」(5) (英国に関して) 山本幸生 私はかつて「政治」というものに大いに関心を持っていた時期があり、ほんのいっとき、ある種の「政治活動」をやっていたことすらあるのだが、その中でごく自然に?出会ったのが「イギリス」というものだった。 まあ要するに、政治学の歴史みたいの... 2023.09.28 山本幸生批評・論考
文学 詩とイラスト「その都市」 飯島章嘉ⅰその都市は極めて奇妙な特徴を持っているすべての建築物は窓を持たず、扉すらない従ってその都市を俯瞰すると一見広大な墓地を見るようであるしかしどの建築物も天を衝く高層ビルだから道路から見上げるビル群は銀色の光を蒼穹に反射させ神々しさを... 2023.09.28 文学飯島章嘉
エッセイ マリファナ対アロエ=手の甲と手のひら―野生の思考を使う。 田高孝 マリファナは、手の甲をダラした様に、うな垂れている。或いは、しお垂れている。 アロエは、溌溂と手のひらを返して、天を見ている。目一杯主張をしている。この二項対立は、「差異の明白さ」(野生の思考)である。 何か、暗示的。アロエの役割は... 2023.09.28 エッセイ田高孝
文学 小説『回帰 或いは、テレ・オフ』 田高孝 2017年6月17日、母死去の報が、妹より、あった。深夜だった。私は、かねてからの、計画を実行することにした。 それは、電話回線外し。うちは、電話は、3台ある。携帯はない。そして、インターネット回線で、全部、つながっている。黒電話も... 2023.09.28 文学田高孝
いとうあきこ 『絶対と相対とバランス』 いとう あきこ 少し前に他界された「ひろさちや」さんという仏教学者が、「仏教では、中道をいけと言う」と本で述べていた。幸せとはバランスが取れていることであると。例えば、火は強すぎると火事になるし、弱すぎると効果が得られない、何事も丁度良くあ... 2023.09.28 いとうあきこエッセイ