北條立記 洋梨の上に喜んで 北條立記 大きな洋梨の上で、色々な果物がなる木を育てる女性。 その繊細な指で果物の手入れを行い、この世にないオリジナルな果物=ラ・パトゥーセウィシトスを育て作ろうとしている。 その果物は、食べるとお腹の中からほんわかして、目が覚めるよう... 北條立記文学
文学 フェニックス六首 田中義之 ふらふらと心と体揺れながら新しい事探してはどう 偉くなく少し考え息をするそれでも僕は生きながらえる 人間と猫族の差は心意気あってもなくても微笑んでいく 月明かり体に浴びて散歩する月光はやはり詩歌の元素 首振るとおかしいのかと思... 文学田中義之
エッセイ ネコは寝ころびヒト育てⅤ 保延薫 7. ウチのネコは医者に掛かるとき、基本的にはご近所さんだった。一度緊急で入院した後はその入院先にずっと通った。予後を観察していただく必要が出てきたから。 だんだんとお医者様や、医療研究者、医療機関に縁が出来たために、医療全般に... エッセイ保延薫
山田浩貴 イサム・ノグチと「芸術家が役に立つ」ということ 山田浩貴 ●イサム・ノグチの言葉 “僕の創造の情熱の根底にあるのは「役に立つこと」に尽きる。地球上のどこかに、1人のアーティストが影響を与えられる場所を求めてきた”(イサム・ノグチ) この言葉に触れたとき、意外に感じたのをおぼえている。な... 山田浩貴批評・論考
エッセイ 「音楽はずるいよ。心に直球で来るから」――発車メロディーの作曲者に語られた言葉 山田浩貴 ●音楽の直接性 音楽は「あからさま」な芸術ジャンルである。目をそむけることはできても、耳をそむけることはむずかしい。また、音楽が流れていると耳をふさぐことはなかなかできないものだ(耳には、なぜか、まぶたのような「フタ」がない... エッセイ山田浩貴
文学 三つのソネット 飯島章嘉 Ⅰ. 詩人の憂鬱 我々は我々のもっとも好む方法で詩をつくるが 死はつくり出せない 我々は泡を吹く蟹のように 横ばいになりかなしむ 詩人の憂鬱について 我々は充分に討議しあった しかし死人の快楽については 沈黙するしかなかった ... 文学飯島章嘉
山本幸生 【「西洋」について】(6) (ドイツ・ロシアに関して) 山本幸生 私が十代の頃は、私にとって「西洋」といえばほぼドイツあるいはドイツ系のことに他ならなかった。むろん、英仏など他の国の人たちの名前もいくらか知ってはいたが、なぜか「ドイツが一番」と思い込んでいたのだ。たぶん当時ドイツ系の古典音楽が... 山本幸生批評・論考
原田広美 『夢十夜』で漱石を癒す(3) 原田広美 *第四夜 「広い土間の真中(まんなか)に涼(すず)み台のようなものを据えて、その周囲(まわり)に小さい床几(しようぎ)が並べてある。台は黒光に光っている。片隅には四角な膳(ぜん)を前に置いて爺(じい)さんが一人で酒を飲んでいる。... 原田広美批評・論考
エッセイ 私の舞踊史11 柴﨑政夫 大学の方はというと、理論物理専攻ながら、いつまでも安い授業料で居座る学生を追い出し、新入生には高めの設定をして受け入れるという経営案に従わざるを得なかった。 前年、教育実習を都内で希望したが、郷土の方がよいと断られ、演劇活動も... エッセイ柴﨑政夫歴史
ゴーレム佐藤 夢日記『風景』 ゴーレム佐藤 気がついたら煙草がフィルタのところまで灰になっていた。 あわてて灰皿に押し付けた時、いきなり風景が見えた。 蒼い海。蒼い空、風までもが蒼い。 などということは微塵も無く、眼前には渋い顔をした女が一人。ナチュラルに魅せようと... ゴーレム佐藤文学