短詩「花花は」

田中義之

草草の名は知らぬらし花花は名は知らぬらし花の咲く咲く

草咲くや名は祝い花八草咲く

鬱という字面の中の暗闇にしばし躊躇いやはり飛び込む

俳諧の人に非らずと皆の言う

毛並み良き我が飼い猫の背を撫でて天使の髪は何色か知る

子猫の子走らぬらしはこの子猫

この世では花鳥風月愛でている彼岸の果てのブラックアウト

ひととせはあまねくありて繰り返す

燕子花典雅な構図を繰り返し光琳描くミクロコスモス

茶を淹れて人生回顧の朝餉かな

                 了