とある会社員から見た「心理」の話(1)

浅野卓

 私は、JR東海入社後2~3年ごとに異動し、いろいろな部署や仕事を経験しています。今は、豊橋ステーションビルという駅ビルで働いています。こちらに配属になり2年弱ですが、多くのテナント様、お客様、さらには豊橋駅周辺の皆さんと知り合って、楽しく? 仕事をしています。

 実は、私は法学部卒業で心理学に関する知識はほとんどありません。しかし、日々職場の仲間や駅ビルに入居しているテナント様と一緒に働く際に、人の気持ちを理解することは本当に大切だと思っています。これから心理にかかわるキーワードを一つずつ示しながら、感じたことや学んだことを共有していきたいと思います。

 今日は心理的安全性について書きます。「心理的安全性(psychological safety)」とは、ハーバードビジネススクールのエイミーエドモンドソン教授により提唱され、Googleが実証実験で「チームの生産性向上の最重要要素」と位置づけた概念とされています。(https://media.unipos.me/psychological-safety-googleから引用)

 こういった定義づけだけでは、いったい何のことだろう? と思われるかもしれません。私の経験を交えつつ、心理的安全性の大切さについて説明しようと思います。

 先日、私の職場でこのようなイベント(https://1484machinaka.jp/event/7779)を企画しました。

 ぴよりん[i]というプリンの販売イベントです。ぴよりんは、東海圏以外の人は、あまりなじみがないかもしれませんが、藤井聡太竜王が対戦中に食べたことを一つのきっかけに大きく売り上げを伸ばしています。崩さないように家に持って帰ることを、ぴよりんチャレンジと言うそうです。

 さて、豊橋では、ぴよりんを販売したことがありませんでした。名古屋と同じものを販売しても売れるでしょうが、もう少し工夫しよう!と社内のプロジェクト活動が始まりました。私は、メンバーには加わらずに、若手社員の意見やアイデアをしっかり取り入れようとだけ言いました。いろいろな議論の結果、豊橋市に工場がある有楽製菓様(ブラックサンダーの発売元)とコラボしたぴよりんができあがりました。

 改めてこちらのサイト(https://www.chunichi.co.jp/article/671386)もご覧ください。かわいいと思いませんか?とさかがイナズマになって、黒焦げになっています。

 こういったアイデアは私の世代では思いつきません。いわゆるZ世代の若手社員ならではの発想です。単に商品を企画するだけではなく、SNS、記者会見などでこのように発信しよう! といったというアイデアも豊かにあります。

 私たちの世代の役割は商品企画や販売促進に関する能力があり、熱意がある社員を発掘すること、そして、そういった社員のアイデアや意見を自由に発信して、それを最大限に尊重することだと思っており、これが心理的安全性の確保に結び付くと考えています。

 よく言われる論点ですが、心理的安全性の確保は、馴れ合いとは違います。先ほどお示ししたブラックサンダーぴよりんを開発する際に、現実的な販売価格にしなければいけません。運搬する際に破損するリスクを管理しなければなりません。多くのお客様をどのように誘導整理するか考える必要があります。これらは、経験則がものをいいますので、ベテラン社員が力を発揮できる部分でしょう。Z世代のアイデアを生かすために、必要な手立てをしっかり考えることが大事です。

 会社、組織では、さまざまな世代、そして、男女がバランスよく集まり、できればそれぞれのメンバーが違った専門性を有することが望ましいのです。こういったチームでお互いの意見を尊重し、一つの目標達成に向かって積極的に議論できる関係を築くと、皆が安心・信頼して、いろいろなアイデアが出てきて、リスクもしっかり管理できる、その結果がいい成果に結びつく、そしてメンバーのさらなるモチベーションの向上につながります。これまで述べたように、モチベーション高く仕事を続けていくために、心理的安全性の確保がますます大切になると思うのです。


[i] 「ぴよりん」はジェイアール東海フードサービス株式会社の登録商標です。