批評・論考

  • 心理学から見た芸術
    MIRIE イギリス大学院の心理学部で芸術や神経美学などについて学んだので、その一部概要と感想を書いてみようと思う。 「芸術とは何か」「どのような特徴が芸術作品を構成するのか」については古くから哲学者ほか色々な人々によっ […]
  • ゴミ収集労働における「相互承認」と「追跡調査可能性」(四)
    田中 聡 〈6〉自己の非自己化は「無限判断」と関わるのか?  私は本連載の前回において、有機物の循環や有価物としての廃棄物の流通について論じたが、そもそもなぜ我々は、そういった循環や流通、更にはいわゆる「リサイクル」をし […]
  • 木村雅信氏の室内楽作品について      
    小森俊明 以前、当マガジンに「独創的な作曲家、木村雅信氏のこと」を寄稿し、その作品について執筆することを予告しながらもそのままになっていた。本稿では氏の室内楽作品10曲について書いてみたい。なお、記載順序は作曲年に従って […]
  • ヨ―ロッパ生成
    田高孝 ピューリタン・エクソダス(アメリカ人) ユダヤ人の力を借りて、地球文明を作る。2世紀で。 「私は、この世を完成させに来た」(キリスト) ユダヤ人(白人種) 石工の仕事師;エジプトでは、ピラミッド作り、ギリシャ・ロ […]
  • 創造的エネルギーの獲得のために――ルーティーン化と驚き
    山田 浩貴 世界があなたに語りかけることに開放的でなければならない。人生とは経験の流れ以外の何ものでもない――その流れの中を、より広く、そしてより深くそして泳げば泳ぐほど、人生は豊かなものとなる。(ミハイ・チクセントミハ […]
  • 三十一の言葉の牢獄
    山田 浩貴 このタイトルの言葉は、短歌について、寺山修司(1935年に生まれ1983年に没した。歌人、詩人、劇作家、演出家、映画監督、競馬評論家とマルチな才能を発揮した)が子どものころの思い出を語った言葉である。牢獄とい […]
  • 新刊小説『ファム ファタル』南清璽 についての、書評的なエッセイ
    原田広美 まろやかな筆致にして鋭利な心理描写を取り入れた本格文芸小説  南さんの初刊行小説『ファム ファタル』。今のアニメ風の表紙絵もいいが、最初のものもなかなかよかったので、上に掲載させてもらいました。  南さんの筆致 […]
  • *『夢十夜』で漱石を癒す(第五夜~第十夜)
    原田広美 *第五夜「こんな夢を見た。/何(なん)でもよほど古い事で、神代(かみよ)に近い昔と思われるが、自分が軍(いくさ)をして運悪く敗北(まけ)たために、生擒(いけどり)になって、敵の大将の前に引き据えられた。&#82 […]
  • 【「西洋」について】(7) (ドイツおよびドイツ系に関して)
    山本幸生 当然のことだが、ドイツについて言うと、「戦前」と「戦後」では全く印象が変わる。かつて私が好きだったところの「ドイツ」というのはもちろん「戦前」までのドイツということで、戦後ドイツにはほとんど興味が持てない。 私 […]
  • 池田一氏との協働と共著執筆について
    小森俊明  アース・アーティストの池田一氏は、水を切り口とした環境アートの世界的な展開で知られている。これまでに筆者は、タージ・マハル旅行団の流れを汲むフリー・インプロヴィゼーション・ユニット「空観無為」のメンバーとして […]
  • ゴミ収集労働における「相互承認」と「追跡調査可能性」(三)
    田中聡 〈4〉ゴミ収集における市民と行政の乖離の修正と「情報」 前回まで述べてきた相互作用、相互承認について、同じく前回まで述べてきたことのおさらいをしつつ、それを歴史的且つ原理的に考究していく事の意義を再確認するところ […]
  • 四つのファンタジー Ⅱ青空の神話
    西武晶 昔々 いつまでもいつまでも青空が続き ついに空の青さが星空のむこうにとどくほど 深く窮(きわ)まってしまったことがありました 空は自分の痛々しいまでの青さのその窮みについにたえられなくなったかのように その孤高の […]
  • 四つのファンタジー Ⅰ黒犬 
    西武晶    「今度の遠足は、火山にしようと思うのだが……。」  「火山って、あの黒犬のですか!」  「そうだ。」  校長の硬い表情が、すこし上気しているのに気づいたが、ペータ教諭はすぐ、  「それは危険です。校長、あま […]
  • イサム・ノグチと「芸術家が役に立つ」ということ
    山田浩貴 ●イサム・ノグチの言葉 “僕の創造の情熱の根底にあるのは「役に立つこと」に尽きる。地球上のどこかに、1人のアーティストが影響を与えられる場所を求めてきた”(イサム・ノグチ)  この言葉に触れたとき、意外に感じた […]
  • 【「西洋」について】(6) (ドイツ・ロシアに関して)
    山本幸生  私が十代の頃は、私にとって「西洋」といえばほぼドイツあるいはドイツ系のことに他ならなかった。むろん、英仏など他の国の人たちの名前もいくらか知ってはいたが、なぜか「ドイツが一番」と思い込んでいたのだ。たぶん当時 […]
  • 『夢十夜』で漱石を癒す(3)
    原田広美 *第四夜  「広い土間の真中(まんなか)に涼(すず)み台のようなものを据えて、その周囲(まわり)に小さい床几(しようぎ)が並べてある。台は黒光に光っている。片隅には四角な膳(ぜん)を前に置いて爺(じい)さんが一 […]
  • 【初登場】カイエ・福永武彦『忘却の河』―〈妣ははの国〉をめぐって―
    和田能卓  かつて私は『福永武彦とフォークロアと』と題して、福永文学における民俗・民俗学について論じたことがあった。だが、福永の三番めの長編小説である『忘却の河』に登場した〈妣の国〉について、具体的に論ずることはなかった […]
  • ヨーロッパ生成 5層としてのヨーロッパ⽣成
    田高孝 タコウタカシのブログ 「マージナルマンが、行く」 英題:Marginal-man goes on
  • ゴミ収集労働における「相互承認」と「追跡調査可能性」(二)
    田中 聡 (2)ゴミの追跡調査可能性  私たちにはゴミが収集され、どれだけの総量となり、それがどう再生され、エネルギー資源になったり、「自然」環境に影響を及ぼしたり、ゴミ減量化が実現しつつあるかという事をめぐり、確実では […]
  • 『夢十夜』で漱石を癒す(2)
                      原田広美 *第二夜  「こんな夢を見た。/侍(さむらい)なら悟れぬはずはなかろう。/そう何日(いつ)までも悟れぬところを以(もつ)て見ると、御前(おまえ)は侍ではあるまい。人間の屑(く […]
  • F・パールズ自伝『記憶のゴミ箱』ゲシュタルトセラピー創始者/新曜社/訳者あとがき(後半)
    原田成志  ゲシュタルトセラピーは、フリッツ・パールズ、ローラ・パールズ、ポール・グッドマンの3人によって形作られた。  K・ホーナイ、W・ライヒに分析を受け、左翼的精神分析家グループとしてベルリンで活動していたフリッツ […]
  • 芸術体験とアジールに関する試論
       山田 浩貴 【アジール(ドイツ語 Asyl)】 意味:聖域、平和領域、避難所。犯罪者、負債者、奴隷などが逃げ込んだ場合に保護を得られる場所。 以下、「アジール」という言葉を、一般的ではなく拡張された意味において使っ […]
  • 「西洋」について」(5) (英国に関して)
    山本幸生  私はかつて「政治」というものに大いに関心を持っていた時期があり、ほんのいっとき、ある種の「政治活動」をやっていたことすらあるのだが、その中でごく自然に?出会ったのが「イギリス」というものだった。  まあ要する […]
  • 【特別寄稿】コラム①藤牧義夫 モダン都市東京に江戸は蘇ったのか!!
    矢崎秀行 「ENOKEN之図」は謎めいた作品として以前から研究者の議論を呼んでいたという。  この図は1934年9月27日、浅草松竹座での新版画集団展覧会にちなみ、当時のエノケン一座公演をテーマに製作された。描かれた主は […]
  • ゴミ収集労働における「相互承認」と「追跡調査可能性」(一)
    田中聡 〈0〉導入  以下において、実際に私が東京都23区のいくつかの区のゴミ収集の清掃労働(ここで清掃労働という時は、ゴミ収集を意味する)のお仕事を、公立清掃事務所の非常勤の臨時職員として、あるいはゴミ収集雇上会社に遣 […]
  • 『夢十夜』で漱石を癒す(1)
    原田広美 (序)明治四十一年、漱石は高浜虚子宛の手紙に「小生『夢十夜』と題して夢をいくつもかいて見ようと存候」と書いた。英国留学から帰国し、『吾輩は猫である』『草枕』が話題となり、明治四十年には「朝日新聞社」社員として作 […]
  • F・パールズ自伝『記憶のゴミ箱』ゲシュタルトセラピー創始者/新曜社/訳者あとがき(前半)
    原田成志  本書はフレデリック(フリッツ)・パールズの自伝『In and Out the Garbage pail』の全訳である。1969年にReal People Pressから出版されたが、1992年にThe Ges […]
  • 「西洋」について(4)(フランスに関して) 補足
    山本幸生  現代の世界の中では、英米を中心としたいわゆる「アングロサクソン勢力」の影響力というのは依然圧倒的であり、そのような「世界」の中ではもちろん、「西洋」内部におけるフランスの存在感というのも昨今かなり目減りしてい […]
  • 【特別寄稿】蕪村の発句に於ける時間の考察(七)最終回―永遠の時間-
    桝田武宗                    白梅に明くる夜ばかりとなりにけり  この句は、蕪村の時世の句三句の内の一つです。 この句の解釈に関して詩人の萩原朔太郎、文学博士の暉竣康隆、詩人の清水哲男等が夫々違う解釈を […]
  • 【特別寄稿】向井潤吉の戦争画について
    矢崎秀行  今までもっていた漠然としたイメージが変容を迫られ、認識を新たにすることがある。  向井潤吉のこの絵は、日中戦争が始まった翌年1938年に、陸軍の要請で描かれた。中国蘇州の町は前年37年に日本軍が攻略し既に陥落 […]
  • 『本当の音?本当の生(LIFE)?本当の時間?』—追悼・坂本龍一—(ニ)
    田中聡  〈3〉始まった途端に終わっているようなものだった  坂本龍一さんは「月刊カドカワ」1988年7月号(角川書店)に掲載されたご自身のエッセイで、リニアな時間について、以下のように述べている。 「子供のときから、僕 […]
  • 考え抜くという仕事
    北條立記  主旨  丹念な、綿密な思考は、学者の世界でさえ、疎かにされていることがあると考えている。  そこで、思考、知識、教養、知性、論理性、感性、感受性、学問、研究、教育、本、古書、書店、出版、メディア、言論、表現、 […]
  • 『漱石の〈夢とトラウマ〉』はじめに(後半)
    原田広美  だが二ーチェが、それまで「教会」に束縛されてきた「肉体」――たとえば教会では伝統的に歌唱は許されたが、舞踊は許されず、マリアの処女懐胎によるイエスの出現が説かれたように、「肉体」は封じ込められてきた――にこそ […]
  • 「西洋」について(3)(フランスに関して)
    山本幸生  そこでまず現在私が「西洋」の中で一番興味を持っているのだというフランスについてであるが、とりあえず断っておきたいのは(まあどうでもいいことかもしれないが)先に「無関心と嫌悪」と言ったように、私はフランスに対し […]
  • 言葉とは、思考と感覚を永く残すものである
    北條立記  時が経てば忘れて消えてしまうかもしれない、人の思考や感覚を、永く残すのが言葉とそれを記した書物である。  ヘルマン・ヘッセは、絵画とは、一瞬で消えてしまう人の表情を永遠に残すものである、と言っているが、言葉も […]
  • 【特別寄稿】蕪村の発句に於ける時間の考察(六)―作為の時間-
    桝田武宗  月天心貧しき町を通りけり  先ず、「郷愁の詩人・与謝蕪村」を書いた萩原朔太郎の解釈を紹介しておきましょう。「月天心というのは、夜が更けているということである。人気のない深夜の街を一人足音高く通って行く。空には […]
  • 【特別寄稿】エドワード・ホッパー『二人のコメディアン』1965年について
    矢崎秀行  絵描きは、その最後に「この世への惜別の絵画」を描くことがある。  ホッパー(1882〜1967)のこの絵は、まさにそうした絵画だと言われている。男性はホッパーで、女性は生涯の伴侶だった妻・ジョセフィーン。   […]
  • 瀧口忠男氏を悼む
    小森俊明  5月初旬に、知り合ってから一年も経っていない知人の瀧口忠男氏が享年63歳で急逝された。先月は坂本龍一氏の逝去を悼んだ文章を寄稿させていただいたが、瀧口氏は今記したように直接の知人である。この10年弱の間に、平 […]
  • ヤスパース哲学と精神疾患〜現実的な実在の受容へ〜
    onetree  カール・ヤスパースは元々は精神科医である。  ヤスパースは哲学において、科学・交わり・真理・人間(現存在)・超越者に関する問題を提示する。  科学はあくまで道具として利用するものとしている。  ※例えば […]
  • 初投稿*滝野川クロニクル2022 ⼟地の亡霊と⾃然の召喚祭
    藤井雅実  滝野川は、東京北部に流れる⽯神井川の別名で、その川が通る北区の街の名でもある。  「滝野川クロニクル 2022 」は、その滝野川地域に関わる歴史や環境を探り、そこに潜むものを様々な観点と技 […]
  • 【特別寄稿】蕪村の発句に於ける時間の考察(五) —経過という時間—
    桝田武宗  四五人に月落ちかかる踊かな  この句は、秋の盆踊りを楽しんでいる情景を詠んだものだと解釈している人が多いと思います。しかしこの句は、そのように表面的な景を詠んだ句ではありません。  先ず、時間的な面から書きま […]
  • 「西洋」について(2)
    山本幸生  前回触れた、その「最後のピース」であったところの「フランス(特に哲学)」というものについていうと、まず最初の「出会い」はドゥルーズという哲学者の本だった。たぶん一番はじめに読んだのは「アンチ・オイディプス」と […]
  • 『漱石の〈夢とトラウマ〉』はじめに(前半)
    原田広美  「弱者」としての自分を、自分に内在するトラウマを「夢の生成」と「冒険心」をもって癒そうとするすべての人々に本書を捧げます。 —また、そうした姿勢を最期まで貫こうとした作家・漱石へ。  あるいは「精神(神経衰弱 […]
  • 観劇の感激を呼ぶ作法—音楽と裏方の「体験」があるダンス公演—
    北條立記  2023/4/22藤村巷平プロデュースダンス公演「PreDanceMusic」@神奈川県立青少年センターHIKARIを観劇して  開演してからリノリウムを引く、椅子を置く、ステージに照明卓があって演者が操作し […]
  • 「教授」(坂本龍一)を悼む
    小森俊明 「教授」(坂本龍一)が逝去してから1ヶ月ほど経つが、インターネット・メディアを中心に、その音楽的業績と政治・社会に関する活動の足跡について盛んに記事が書かれている。名実ともに20~21世紀の日本を代表する世界的 […]
  • 『ギリヤークさんと大拙』試論(三)-2020年・横浜港公演をきっかけにして-
    田中聡 〈5〉「個人的生命の宇宙的生命に対する関係を感得す。」     大拙(=鈴木大拙)、そしてギリさん(=ギリヤーク尼ヶ崎)の中には、東洋的な「一」とも言うべきものが脈打っている。  そしてそれはまず、(少なくとも大 […]
  • 癌再発から100才まで生きたハルプリン、精神分析とセラピー~電子書籍版『やさしさの夢療法』あとがき(後半)
    原田広美  今年(2021)年5月に、100歳の天寿をまっとうして逝去したハルプリンでしたが、40代には自身も癌を発病して切除手術を受けたものの、5年後には再発に見舞われました。しかし再発後は、手術や化学療法を手放し、若 […]
  • 【特別寄稿】蕪村の発句に於ける時間の考察(四)―不可逆という時間―
    桝田武宗  前回まで「時間の認識」「自然主義」「モンタージュ」について書いて来ました。今回からの四回は、蕪村の句を例に挙げながら句に詠み込まれた時間の分析について書いて行きます。   秋の空きのふや鶴を放ちたる   凧( […]
  • 新連載「西洋」について(1)
    山本幸生  あまりにもテーマが大きすぎるので、とりあえず私自身と「西洋」というものとの個人的な関わり、というあたりから語り始めてみたい。  私の大学での専門は数学だが、当時の私は西洋という点に関していうと、ごく素朴な、さ […]
  • 舞台覚え書き『ストーリーを消滅させた身体の強度』
    山家誠一  以下は会場でのアンケートとして書いたものです。 山家誠一 2023-4-7  DA・Mの公演を見るのは久し振りだった。「襲撃・Red carpet」(2023.3.26. 東京・高田馬場 プロト・シ […]
  • [特別寄稿]スサノヲと中上健次 あるいは嘆くボブ・マーリーと哭きいさちる中上健次(四)
    矢崎秀行  スサノヲと中上健次⑦  つい連想してしまうのだが、それはあたかも奄美沖縄の《おなり神信仰》を私たちに想起させる。《おなり神》は兄弟を守護するとされる姉妹の霊威のことである。沖縄学の父・伊波普猷(1876~19 […]
  • 【特別寄稿】蕪村の発句に於ける時間の考察(三)―俳句とモンタージュ―
    桝田武宗  今や俳句と映画制作に於けるモンタージュ(編集)が大きく関わっているということは常識になっていますが、簡単に説明しておきます。  モンタージュ理論は、ソ連の映画監督・セルゲイ・エイゼンシュタインが提唱した映像編 […]
  • どうしてセラピーを??そしてゲシュタルト療法とは?? ~電子書籍版『やさしさの夢療法』あとがき(前半)
    原田広美  本書は、母による抑圧などを契機に、成人後も自信喪失や孤独感が解消できず、加えて管理体制の強い職場への勤務による鬱や、夫のモラトリアムなどに悩んだ私が、学生時代からの心身の解放と自己表現、および二〇代全般を通じ […]
  • 東洋「哲学」について(4)
    山本幸生  私の場合、「インド系統」後において、イスラム系やユダヤ思想関連、更には日本思想などもいくつか通過してから、ようやく「西洋哲学」というのに本格的に取り組むようになり現在に至る、ということだが、ここはあくまで「東 […]
  • [特別寄稿]スサノヲと中上健次 あるいは嘆くボブ・マーリーと哭きいさちる中上健次(三)
    矢崎秀行 スサノヲと中上健次⑤  けれども、ジャマイカのトレンチタウンと新宮の路地には大きな違いがあった。負を負った被差別地域であることは共通するものの、トレンチタウンは今なお続く被差別の貧民街だが、新宮の路地は中上がマ […]
  • 『ギリヤークさんと大拙』試論(二)-2020年・横浜港公演をきっかけにして-
    田中聡  本稿は、「まどか通信」フェニックス3月号に掲載された拙稿「『ギリヤークさんと大拙』試論(一)-2020年・横浜港公演をきっかけにして-」を引き継ぐものです。  前回は私がギリさんから直接お聞きしたお話から、或る […]
  • 『ギリヤークさんと大拙』試論(一)-2020年・横浜港公演をきっかけにして-
    田中聡 【序章】 〈0〉導入  2020年10月11日、横浜港は横浜大桟橋国際客船ターミナルの屋上で、午後2時からの1時間余り、大道芸人・舞踊家のギリヤーク尼ヶ崎さん(当時90歳)(以下、ギリさんと略す)が、新型コロナウ […]
  • 花と緑の癒し~「園芸療法」のお話〜(2)
    柴沼敦子  今回は、園芸療法とはどういうものかについてお伝えします。  園芸療法を一言で簡単に説明するなら「花や野菜などの植物を用いて人の健康をサポートする」ということでしょうか。  もう少し詳しく専門的に説明するとこう […]
  • [特別寄稿]スサノヲと中上健次 あるいは嘆くボブ・マーリーと哭きいさちる中上健次(二)
    矢崎秀行 スサノヲと中上健次③  ボブ・マーリー、本名ロバート・ネスタ・マーリーは1945年2月、ジャマイカのセント・アン教区ナインマイルズに生まれた。中上より一つ歳上である。父親は英国生まれの白人、母(デボラ・ブッカー […]
  • 芸術的欲求を遂げるには—3つのライトスケッチ—
    北條立記  芸術活動を継続し、創作をより豊かにできるようにするための、自分の気づきや工夫を書いていきたい。美学とかそういう難解な話としてではなく、日常感覚で捉えた、しかし創作において意味あると思うもろもろの事柄である。高 […]
  • *夢解きの始め方~『やさしさの夢療法』まえがき
    原田広美 ◎自分の中のすばらしさに向かって、扉を開き続けようとする人々に本書を捧げます。  私達夫婦は夢のワークを始めて八年めになります。朝起きるとすぐに夢をノートに書きとめておく、「夢日記」を毎日書いています。夢は関心 […]
  • 笠井叡新作ダンス公演「『櫻の樹の下には』カルミナ・ブラーナを踊る」の笠井休演を巡って考えた事。
    山家誠一  普通こういう事は、世の中的にはなかなかあり得ない話だと思う。2022年11月23日~27日の東京・吉祥寺シアターでの笠井叡新作ダンス公演「『櫻の樹の下には』カルミナ・ブラーナを踊る」で、その当の笠井叡自身が体 […]
  • 東洋「哲学」について(3)
    山本幸生  東洋思想、という点について言えば、私はインド思想や仏教などに強く惹かれた時期もあった。特に「自分の中ですべてをいったん壊して、改めて作り直す」のだという禅の考えや、いわゆる「梵我一如」といったインドの古代思想 […]
  • 【特別寄稿】蕪村の発句に於ける時間の考察(二)—子規と自然主義—
    桝田武宗  近代俳句の始祖である正岡子規は、「俳句は写生であり、実景・実物の静止している状態を捉えて十七文字の形態に固定するのが基本である」と定義しました。  子規が、「俳句革新運動」を開始した明治二十年代は、日本の西洋 […]
  • [特別寄稿]スサノヲと中上健次 あるいは嘆くボブ・マーリーと哭きいさちる中上健次(一) 
    矢崎秀行 スサノヲと中上健次①  1998年8月、吉増剛造は小説家の中上健次(1946~92)の和歌山県新宮市でいとなまれた七回忌に出席して、心のこもった追悼の詩を朗読した。以下の通りである。(わかり易いように少し簡略化 […]
  • 反抗期とテクノポップについての覚え書き(2)—「型に嵌ること」をめぐって—
    田中聡  私は2016年2月12日に、東京都現代美術館に『Tokyo』展を観に行った。 YMOという切り口から1980年代の東京をまず捉え、そこで得られたものが、現代の東京にどう引き継がれているのか? そんな視点を持った […]
  • 東洋医学とは何か——あるいは文化の壁について
    糸数七重  東洋医学とは何か。  東洋医学、というよりは伝統医学というべきなのだが、ともあれ、私の考えるところを単刀直入に表現すると、それはすなわち「ものがたりの医学」「解釈の医学」そして「歴史に磨かれた医学」である。 […]
  • 芸術家と政治
    小森俊明  新年となっても、気分が晴れなかった。昨年、自民党の岸田首相がいわゆる安保関連3文書を閣議決定したからである。日本を攻撃する可能性が高い相手国の領域を「反撃能力」という名の敵基地攻撃能力でもって攻撃する力を常時 […]
  • *原田広美の『ハムレット/オフィーリア』、そしてグリム童話『蛙の王様、あるいは鉄のハインリッヒ』
    原田広美  夏目漱石(1867~1916)は、イギリスに官費留学する前には、松山中学や熊本五高で英語教師をした。熊本五高で教えたのは、鏡子と一緒になった新婚時代だ。少年時には、講談・落語や漢詩を好んだ漱石は、英文学を志し […]
  • 東洋「哲学」について(2)
    山本幸生  実は、いわゆる「西洋哲学」の本を本格的に読み始める以前、私は中国思想にかなりハマっていた。諸子百家と言われる思想家たちのうち、岩波あたりで出ているものはほとんど読んだし、岩波になかった「墨子」などはハードカバ […]
  • [特別寄稿] 蕪村の発句に於ける時間の考察(一)―江戸時代に於ける時間の認識―
    桝田武宗  俳句は、大前提として季語を詠み込むことになっています。季語は、暦と深く関わっているものであり暦は時を表します。また俳句は、時の流れの瞬間を捉えて景を詠むというもう一つの前提があります。私が、ここで書く時(時間 […]
  • 今の人にとって、本は生きているか
    北條立記  大量の出版物があるが、活字離れとも言われ、しかしネット空間に文章は溢れている。  沢山の書籍が出版され文章が書かれているにもかかわらず、それに見合う形では、社会が活性化されていないように見える。  その意味で […]
  • 舞踏の即興、振り付け、作品について思うこと
    長岡ゆり(Dance Medium主宰、舞踏家、振付家、演出家、鍼灸師)  今年(2022年)の秋、私はモダンダンサーの方に40分間のソロ作品を振り付けるというチャレンジをして、一応成功を収めたのだが、本来私は振付家とい […]
  • 内藤多仲―東京タワーリバイバル “無骨な鉄塔”から「記憶の再生装置」へ
    矢崎秀行  改めて述べるまでもないが、構造建築家・内藤多仲(たちゅう)(1886~1970)は戦後日本を代表する建築家で、東京タワーの設計者である。  彼は明治19年山梨県中巨摩郡榊村(現南アルプス市曲輪田)に生まれた。 […]
  • 音楽家が文章を書き、発表するということー自身の経験を振り返ってー
    小森俊明  今はネットで文章を気軽に発表することなど当たり前のことになっているが、少し前まではそうではなかった。ネット媒体の発達云々以前に、話し言葉と比べて書き言葉は難しいと考えられていたことも、無論背景にはあったのかも […]
  • 反抗期とテクノポップについての覚え書き(1)ー「型に嵌ること」をめぐってー
    田中聡    今自分(1969年生まれ)が思索し、模索していることの起源は、自分の10歳位から17歳位の時期の精神的遍歴にある。  時々自分が何者か、分からなくなる時、そうした起源をもう一度十分に吟味 […]
  • 実体験を踏まえた共生社会における現存在の本来性について
    onetree アダルトチルドレン・HSPの現象学・逃走論サバイバルではなくリカバリーへ 楽園は自分の中にある。もしくはあった。 実存主義の先駆者はデンマークの哲学者キルケゴールで有名です。この文章の前置きとして、両親か […]
  • 東洋「哲学」について(1)
    山本幸生 西洋と東洋という区分けは既にかなりカビだらけになっているが、それでもやはりそこかしこで依然いろいろと思い当たる部分がないわけでもなく、まだ完全に「死んでいる」とは言えないだろうと思われる。 先にどこかのネット外 […]
  • 『トーテムとタブー』 付 フロイトの思想形成の謎
    田高孝 どうしても、この本が、気になる。個人的には、人類学のきっかけとも思うし、近年的には、ジラールが、再考していて、重要視している気がする。別に、人に影響されて読んだ覚えはない。本家、精神分析として、かなり以前に、読ん […]