2023-11

南清璽

連載小説『天女』第八回

南清璽  診療所の勝手口。やはり、産婦人科ならば、玄関よりお邪魔するのは、控えるべきなのだろう。  「すみません。急患です!」  声をかけてみた。ドアの向こうの物音で少々気が止んだ。何分、数度は、試さなければならなと踏んでいたからだ。  「...
いとうあきこ

「いるだけで傷つく人がいることに、気づく」

いとう あきこ  よく、「自分は何もしていないのに」「人に迷惑かけている訳じゃない」という言葉を聞くが、その事柄直結でなくても、人はどこかで必ず人を傷つけ、また自分も傷ついている。  私の最初の子どもは、乳児性突然死というもので生後二か月で...
和田能卓

【初登場】カイエ・福永武彦『忘却の河』―〈妣ははの国〉をめぐって―

和田能卓  かつて私は『福永武彦とフォークロアと』と題して、福永文学における民俗・民俗学について論じたことがあった。だが、福永の三番めの長編小説である『忘却の河』に登場した〈妣の国〉について、具体的に論ずることはなかった。(⇒01)  そこ...
批評・論考

ヨーロッパ生成 5層としてのヨーロッパ⽣成

田高孝 タコウタカシのブログ 「マージナルマンが、行く」 英題:Marginal-man goes on
エッセイ

接待備忘録—上野フォルマ

田高孝  田高商店は、かくして、始まった。「銀座フォルマ」として。私は、優秀な売り子だったとは、言ったとおもう。次に、私の手柄。私は、フォルマさん’(銀座の御木本の本店の方)から、ある種の民芸品を委託されたことがある。それは、フォークロアと...