文学

まどろむ海月(西武 晶)

詩画集『夏の楽譜』

まどろむ海月・詩、田中義之・イラスト Ⅰ 誰が投げたか 空の底に小石が一つ 果てのない青い花の野に 生まれたばかり白の風紋は旅立つ それは水溜りに揺れる夏の楽譜  硝子のまぶたに透ける午後 昼の月は淡く微笑む 飛ばした紙飛行機に 少年自身が...
文学

歌集『恋歌へ』

田中義之 アラビアの古なるや美しき笑みを湛えて訪れる君 微かなる気品漂う首飾り険しき峰の谺の様に ささやかな静けさの後水兵は咳一つするその闇の中 ターバンを地上に置きて綴る文天使現れ説く桃源郷 夏過ぎてニンフは祈る額付きてネヴァーランドに望...
北條立記

詩題)愛と希望と生きること

チェロの肖像、希望 北條立記 自分の中を通過している、通過し続けているある印象がある。自分の潜在意識に入ってきたものであり、今の自分の安定をもたらしたものだ。なぜそれが安定をもたらすのか、つかもうとしてもつかめないのだが、ある時からそれは安...
文学

連載ユーモア小説『シン・コンペイ島綺譚』

田中義之 おはよーにゃ! 心のワクチンとして、お送りします。 ●新編・コンペイ島綺譚 予告篇  貓和・貓成・貓和と続く戦後の歴史の中で、今ほど危機的な状況は無いのであった。  猫の国の王、クチャくんは、心をいためていた。 「コンペイさんは、無事だろうかにゃ?」  今回は、猫の国がこの世を救う番だ! と、クチャ王は、つぶやいた。