南清璽 連載小説『天女』第七回 南清璽 「待って下さる?」 その声には幾分か重みがあった。でも、これは聞こえがいい様に言ったまでで、もう年増にかかろうとしている年頃だったから、生娘の様な声は持っていなかったのだ。だが、その声の深みには、何某かの知性を感じた。彼女には正... 南清璽文学
原田広美 『夢十夜』で漱石を癒す(2) 原田広美 *第二夜 「こんな夢を見た。/侍(さむらい)なら悟れぬはずはなかろう。/そう何日(いつ)までも悟れぬところを以(もつ)て見ると、御前(おまえ)は侍ではあるまい。人間の屑(くず)じゃ。/口惜(くや)しければ悟った証拠(しようこ)を... 原田広美批評・論考
原田成志 F・パールズ自伝『記憶のゴミ箱』ゲシュタルトセラピー創始者/新曜社/訳者あとがき(後半) 原田成志 ゲシュタルトセラピーは、フリッツ・パールズ、ローラ・パールズ、ポール・グッドマンの3人によって形作られた。 K・ホーナイ、W・ライヒに分析を受け、左翼的精神分析家グループとしてベルリンで活動していたフリッツ・パールズは、193... 原田成志批評・論考
エッセイ マミのA4一枚、こころのデトックス(9) 矢野マミ 24. 虚飾の人 ここ数年、「拒食症」「元・拒食症」の人と同じ職場で働く機会が増えた。若いころにはなかったことだ。21世紀になってから「拒食症」の人が増えているのか、この仕事を志向する人に「拒食症」の人が多いのか、人手不足で職場... エッセイ矢野マミ
山田浩貴 芸術体験とアジールに関する試論 山田 浩貴 【アジール(ドイツ語 Asyl)】 意味:聖域、平和領域、避難所。犯罪者、負債者、奴隷などが逃げ込んだ場合に保護を得られる場所。 以下、「アジール」という言葉を、一般的ではなく拡張された意味において使っている。 CG制作::山田... 山田浩貴批評・論考
エッセイ 「最後の花火」——フジファブリック『若者のすべて』にきこえる自己予言 山田 浩貴 日本のバンド、フジファブリックが演奏する『若者のすべて』は、志村正彦(1980年7月10日~2009年12月24日、29歳没)が作詞・作曲した楽曲である。志村はこのバンドでボーカルとギターを担当していた。 Youtube ↑ク... エッセイ山田浩貴
ゴーレム佐藤 夢日記『ぐるぐる』 ゴーレム佐藤 壁がね動いてるんです。ウルトラQのオープニングが極彩色になった感じで。逆に動いてないものがないんです。ワタシ以外の全てが渦を巻いて動いてるんです。ワタシは動けないんです。次第にクダから入ってくる酸素の分子までもが動き回ってる... ゴーレム佐藤文学
山本幸生 「西洋」について」(5) (英国に関して) 山本幸生 私はかつて「政治」というものに大いに関心を持っていた時期があり、ほんのいっとき、ある種の「政治活動」をやっていたことすらあるのだが、その中でごく自然に?出会ったのが「イギリス」というものだった。 まあ要するに、政治学の歴史みた... 山本幸生批評・論考
文学 詩とイラスト「その都市」 飯島章嘉 ⅰ その都市は極めて奇妙な特徴を持っている すべての建築物は窓を持たず、扉すらない 従ってその都市を俯瞰すると 一見広大な墓地を見るようである しかしどの建築物も天を衝く高層ビルだから 道路から見上げるビル群は銀色の光を蒼穹に反射... 文学飯島章嘉
エッセイ マリファナ対アロエ=手の甲と手のひら―野生の思考を使う。 田高孝 マリファナは、手の甲をダラした様に、うな垂れている。或いは、しお垂れている。 アロエは、溌溂と手のひらを返して、天を見ている。目一杯主張をしている。この二項対立は、「差異の明白さ」(野生の思考)である。 何か、暗示的。アロエの... エッセイ田高孝