文学 フェニックス六首 田中義之 ふらふらと心と体揺れながら新しい事探してはどう 偉くなく少し考え息をするそれでも僕は生きながらえる 人間と猫族の差は心意気あってもなくても微笑んでいく 月明かり体に浴びて散歩する月光はやはり詩歌の元素 首振るとおかしいのかと思... 2023.11.30 文学田中義之
文学 短歌集『奇跡~懐かしい日々』 田中義之 高校生若気の至り言い訳にしていい時といけない時代 肩車担ぐつもりが耐えられず思わず落とす情けなき我 水俣の公害問題友と知り図書館で読む苦海浄土 自らを大人とみている高校生所詮は園児が背伸びしただけ 青春の真っ只... 2023.07.02 文学田中義之
文学 短歌集『収容所群島』 田中義之 令和と打ち囹圄(れいぎょ)と変換されていくここはまさしく収容所群島 燕子花典雅な構図を繰り返す光琳描く燕子花屏風 差別する言葉をうまく案出し心は隠す地獄の果てに セロ弾きの独奏これは孤独なり観客1人共犯幻想 家族譜の不... 2023.06.22 文学田中義之
エッセイ アート・セラピーに参加して 田中義之 去年ほど僕にとって生活が一変したことはなかった。 一昨年仕事が、定年退職してから色々な事が起こった。中でも去年の秋からZOOMで。アート・セラピーに参加したことは僕にとって大切な事だった。 実家を家出して新しい住まいに転居し... 2023.04.24 エッセイ田中義之
文学 ある小説に関する思い出 田中義之 『孤高の豚』って云う短編小説を書いたことがある。主語は、三人称複数。ある独裁国家の元首の存亡(実は安泰)を、民衆側から描いた物で、多分にガルシア・マルケスの『族長の秋』の影響がある。 「『孤高の豚』と彼らは呼んだ。それが、蔑称... 2023.02.20 文学田中義之
文学 短詩「花花は」 田中義之 草草の名は知らぬらし花花は名は知らぬらし花の咲く咲く 草咲くや名は祝い花八草咲く 鬱という字面の中の暗闇にしばし躊躇いやはり飛び込む 俳諧の人に非らずと皆の言う 毛並み良き我が飼い猫の背を撫でて天使の髪は何色か知る 子猫の子走らぬ... 2023.01.30 文学田中義之
文学 ユーモア小説:シン・コンペイ島綺譚 (2) 田中義之 ●シン・コンペイ島綺譚 特別篇 ★序章 コンペイ王達とは違う時系列に、つまり、数十年前。テリアのお交りの桃子は、ひなちゃんと同じく、お散歩をしている。桃子もまた一点を見つめているのだった。ひなちゃんが、見つめていたのは、赤ら顔... 2023.01.15 文学田中義之
まどろむ海月(西武 晶) 詩画集『夏の楽譜』 まどろむ海月・詩、田中義之・イラスト Ⅰ 誰が投げたか 空の底に小石が一つ 果てのない青い花の野に 生まれたばかり白の風紋は旅立つ それは水溜りに揺れる夏の楽譜 硝子のまぶたに透ける午後 昼の月は淡く微笑む 飛ばした紙飛行機に 少年自身が... 2022.11.20 まどろむ海月(西武 晶)文学田中義之
文学 歌集『恋歌へ』 田中義之 アラビアの古なるや美しき笑みを湛えて訪れる君 微かなる気品漂う首飾り険しき峰の谺の様に ささやかな静けさの後水兵は咳一つするその闇の中 ターバンを地上に置きて綴る文天使現れ説く桃源郷 夏過ぎてニンフは祈る額付きてネヴァーランドに望... 2022.11.15 文学田中義之
文学 連載ユーモア小説『シン・コンペイ島綺譚』 田中義之 おはよーにゃ! 心のワクチンとして、お送りします。 ●新編・コンペイ島綺譚 予告篇 貓和・貓成・貓和と続く戦後の歴史の中で、今ほど危機的な状況は無いのであった。 猫の国の王、クチャくんは、心をいためていた。 「コンペイさんは、無事だろうかにゃ?」 今回は、猫の国がこの世を救う番だ! と、クチャ王は、つぶやいた。 2022.11.05 文学田中義之