大輪茂男

大輪茂男

[特別寄稿]舞踏小説『鹿のヴァイオリン』

大輪茂男      1  城壁の街ポロロの祭の晩のことである。 湖のある丘陵を渡る風の中でバターや果実を作り出す草原の住人や、遥かな雪山の峰の彼方に神々の水浴場があると信じている森の住人たちも、この日ばかりはポロロの街を目指してやってくるの...