アートセラピスト養成講座に参加して

クリュエワ みか

 

今年のアートセラピスト養成講座に参加させてもらい本当に良かったなと思います。

 

私は以前から様々に精神的な問題を患い、心理士や精神分析学者などに何年か通ったことがあり、自主的に心理学、神経科学、生物化学まで学びました。さまざまな療法のアプローチがありますが、どんなクライアントに対しても、一つだけの完璧なアプローチがあるとは言い切れないでしょう。クライアントさんとちゃんと向き合うには、多岐多様なアプローチのパレットを持つのが必須だということは、セラピストを目指す側からすれば、一目瞭然だと思います。ゲシュタルト療法はその大事なアプローチの一つであるというのが、講座に参加して得た結果です。

 

去年の秋からアートセラピー講座に参加してみて、グループで、そしてアートを介して精神的な問題に接触したのは初めてでした。画家をしているが故に、元々アートを技術と生まれ出る作品そのものとしてしか考察していませんでした。いつも絵を描く時は、その望む結果(作品世界)だけに集中し、それを追求するのが唯一無二の道だと思っていました。ですからワークの場で即興的に、何かの精神状態や、悩み苦しみ、課題への反応などを、ただ表現せんがためありのまま吐き出し、それをセラピストの下で、グループの方々とワークをしながらシェアし合うことは、私にとって驚きいっぱいの体験でした。

 

 

自分の「無意識から浮上してくる何か」を「物や人や自然や動物などの形(アート)」として可視化し(クレヨン画や水彩画として描き)、次にはロールプレイという手段を用いて、それら実際には自分に内在しているのに何らかの形で分離され拒絶されていた部分をこれまでの自分と一体化してゆくようなワークでした。

 

それによって毎回少しずつでも、新しい自分を発見することができました。また画家としても、作品で何を表現しようとしているのか、何の為に描いているのかなどを、すなわち「自分自身の本意」を以前よりも良く把握できるようになるためのプロセスそのものを理解することができるようになりました。これは大きな価値があることであったと思われます。

 

春からの養成講座では、アートセラピーの実践と共に、理論的な土台も教えられ、アプローチを貫く論理も徐々に把握し、この療法の大切さや、どんな問題に他のアプローチよりも効果的なのか、なども理解することができました。そして何よりも自分自身の問題に対する不思議な力も感じ取ることができたのです。

 

また私は何年もの間、夢を憶える能力を完全に失ったと断念し、夢はただ良く寝るのを妨げるものに他ならんとまで思い込んでいました。夢が語ってくれる物事を正しく解かないと、夢があたかもすねてしまい、無意識の闇に身を隠すかのごとく、去ってゆく、という現象にあったのです。

 

 

ですが夢療法に携わった結果、驚くべきことにその能力も思わず取り戻しました。ゲシュタルト療法の夢のワークというのは、占いや曖昧な仮設ではなく、ちゃんとできている方法を順に使い、夢の一部一部になったり色んな質問に答えたり進んでいき、直接にそのメッセージを受信し、自覚し、分かっていくという過程です。そうしたら夢を送ってくれる内なる声が、今度は「大きく無意識への扉を開けてくれる」という大切な体験に逢うことができました。

 

なお人前で発言することが非常に怖くて、緊張のあまり何か一貫性のある話しを言い出そうとしても、いつも絶句ばかりしてしまっていた私には、この講座は本当に大切な体験でした。皆さんと自由に奥深い物事を話し合える能力や、ずっと昔に失ってしまっていた自信を取り戻すこともできたのです。

 

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〈編集部より〉

*掲載させていただいた水彩画は、ワークの最中に10分程度で描いていただいたものです。

みか さんの本格的な作品は、下記でご覧ください。

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