いとうあきこ

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生きることの地獄

いとう あきこ私の中には、ある仮説がある。もはや仮説ではなく、恐らく皆実感していることであり、実証済なのではないかと思う。人間界は地獄である。文京区にある、八百屋お七をまつるお寺に、地獄・修羅・人間・極楽・天国だかの碑が並んでいる。人間界は...
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「いるだけで傷つく人がいることに、気づく」

いとう あきこ よく、「自分は何もしていないのに」「人に迷惑かけている訳じゃない」という言葉を聞くが、その事柄直結でなくても、人はどこかで必ず人を傷つけ、また自分も傷ついている。 私の最初の子どもは、乳児性突然死というもので生後二か月で他界...
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『絶対と相対とバランス』

いとう あきこ 少し前に他界された「ひろさちや」さんという仏教学者が、「仏教では、中道をいけと言う」と本で述べていた。幸せとはバランスが取れていることであると。例えば、火は強すぎると火事になるし、弱すぎると効果が得られない、何事も丁度良くあ...
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「幽体離脱できます」(散文)

いとう あきこ 私は、金縛りの状態を利用してのみだが、幽体離脱ができる。 とは言っても、完璧にできたのは高校生の頃、一度きりで、それから後は、わずかに体の一部が抜ける程度である。 まずは、自分でも鮮烈な思い出である高校時代の幽体離脱について...
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『自分が生きることの無駄』(散文)

いとうあきこ 自殺願望が出始めたのは、中学生の頃からだろうか、少なくとも高校生の時には、ひろさちやさんのインド哲学(仏教)や遠藤周作さんのキリスト教の教えを含む小説をむさぼり読み、さだまさしの歌を聞き、心を維持したものだ。新興宗教にも自分か...
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初投稿エッセイ*名前がない白猫

いとうあきこ 名前がない猫がうちにいる。来た時、真っ白な姿から「ゆき」「しろ」などの名前を考えたが、どれもしっくりとこなかった。 考え疲れ、「人間の中に猫一匹だから『ねこ』でいいか」と今も正式な名前がない。家族はにゃーちゃん、にゃーこなど、...