批評・論考

原田広美

『夢十夜』で漱石を癒す(3)

原田広美*第四夜 「広い土間の真中(まんなか)に涼(すず)み台のようなものを据えて、その周囲(まわり)に小さい床几(しようぎ)が並べてある。台は黒光に光っている。片隅には四角な膳(ぜん)を前に置いて爺(じい)さんが一人で酒を飲んでいる。…」...
和田能卓

【初登場】カイエ・福永武彦『忘却の河』―〈妣ははの国〉をめぐって―

和田能卓 かつて私は『福永武彦とフォークロアと』と題して、福永文学における民俗・民俗学について論じたことがあった。だが、福永の三番めの長編小説である『忘却の河』に登場した〈妣の国〉について、具体的に論ずることはなかった。(⇒01) そこで以...
批評・論考

ヨーロッパ生成 5層としてのヨーロッパ⽣成

田高孝タコウタカシのブログ「マージナルマンが、行く」英題:Marginal-man goes on
批評・論考

ゴミ収集労働における「相互承認」と「追跡調査可能性」(二)

田中 聡2015年3月30日、大田区大森清掃事務所西分室の建物の前にての私のゴミ収集作業員制服姿)(2)ゴミの追跡調査可能性 私たちにはゴミが収集され、どれだけの総量となり、それがどう再生され、エネルギー資源になったり、「自然」環境に影響を...
原田広美

『夢十夜』で漱石を癒す(2)

原田広美*第二夜 「こんな夢を見た。/侍(さむらい)なら悟れぬはずはなかろう。/そう何日(いつ)までも悟れぬところを以(もつ)て見ると、御前(おまえ)は侍ではあるまい。人間の屑(くず)じゃ。/口惜(くや)しければ悟った証拠(しようこ)を持っ...
原田成志

F・パールズ自伝『記憶のゴミ箱』ゲシュタルトセラピー創始者/新曜社/訳者あとがき(後半)

原田成志 ゲシュタルトセラピーは、フリッツ・パールズ、ローラ・パールズ、ポール・グッドマンの3人によって形作られた。 K・ホーナイ、W・ライヒに分析を受け、左翼的精神分析家グループとしてベルリンで活動していたフリッツ・パールズは、1934年...
山田浩貴

芸術体験とアジールに関する試論

山田 浩貴【アジール(ドイツ語 Asyl)】意味:聖域、平和領域、避難所。犯罪者、負債者、奴隷などが逃げ込んだ場合に保護を得られる場所。以下、「アジール」という言葉を、一般的ではなく拡張された意味において使っている。CG制作::山田 浩貴 ...
山本幸生

「西洋」について」(5) (英国に関して)

山本幸生 私はかつて「政治」というものに大いに関心を持っていた時期があり、ほんのいっとき、ある種の「政治活動」をやっていたことすらあるのだが、その中でごく自然に?出会ったのが「イギリス」というものだった。 まあ要するに、政治学の歴史みたいの...
批評・論考

【特別寄稿】コラム①藤牧義夫 モダン都市東京に江戸は蘇ったのか!!

矢崎秀行 藤牧義夫(1911~35年9月2日失踪)『ENOKEN之図』1934年 「ENOKEN之図」は謎めいた作品として以前から研究者の議論を呼んでいたという。 この図は1934年9月27日、浅草松竹座での新版画集団展覧会にちなみ、当時の...
批評・論考

ゴミ収集労働における「相互承認」と「追跡調査可能性」(一)

田中聡 2015年3月30日、大田区大森清掃事務所西分室の建物の前にての私のゴミ収集作業員制服姿)〈0〉導入 以下において、実際に私が東京都23区のいくつかの区のゴミ収集の清掃労働(ここで清掃労働という時は、ゴミ収集を意味する)のお仕事を、...
原田広美

『夢十夜』で漱石を癒す(1)

原田広美(序)明治四十一年、漱石は高浜虚子宛の手紙に「小生『夢十夜』と題して夢をいくつもかいて見ようと存候」と書いた。英国留学から帰国し、『吾輩は猫である』『草枕』が話題となり、明治四十年には「朝日新聞社」社員として作家となり、『虞美人草』...
原田成志

F・パールズ自伝『記憶のゴミ箱』ゲシュタルトセラピー創始者/新曜社/訳者あとがき(前半)

原田成志 本書はフレデリック(フリッツ)・パールズの自伝『In and Out the Garbage pail』の全訳である。1969年にReal People Pressから出版されたが、1992年にThe Gestalt Journa...
山本幸生

「西洋」について(4)(フランスに関して) 補足

山本幸生 現代の世界の中では、英米を中心としたいわゆる「アングロサクソン勢力」の影響力というのは依然圧倒的であり、そのような「世界」の中ではもちろん、「西洋」内部におけるフランスの存在感というのも昨今かなり目減りしている、というのが現状であ...
批評・論考

【特別寄稿】蕪村の発句に於ける時間の考察(七)最終回―永遠の時間-

桝田武宗                  白梅に明くる夜ばかりとなりにけり この句は、蕪村の時世の句三句の内の一つです。 この句の解釈に関して詩人の萩原朔太郎、文学博士の暉竣康隆、詩人の清水哲男等が夫々違う解釈をしています。例えば、萩原朔...
批評・論考

【特別寄稿】向井潤吉の戦争画について

矢崎秀行向井潤吉(1901~95)『影(中国・蘇州上空にて)』1938年福富太郎コレクション蔵 今までもっていた漠然としたイメージが変容を迫られ、認識を新たにすることがある。 向井潤吉のこの絵は、日中戦争が始まった翌年1938年に、陸軍の要...
批評・論考

『本当の音?本当の生(LIFE)?本当の時間?』—追悼・坂本龍一—(ニ)

田中聡 〈3〉始まった途端に終わっているようなものだった 坂本龍一さんは「月刊カドカワ」1988年7月号(角川書店)に掲載されたご自身のエッセイで、リニアな時間について、以下のように述べている。「子供のときから、僕の音楽は、始まった途端に終...
北條立記

考え抜くという仕事

北條立記 主旨 丹念な、綿密な思考は、学者の世界でさえ、疎かにされていることがあると考えている。 そこで、思考、知識、教養、知性、論理性、感性、感受性、学問、研究、教育、本、古書、書店、出版、メディア、言論、表現、表現活動、ネット世界、フレ...
原田広美

『漱石の〈夢とトラウマ〉』はじめに(後半)

原田広美 だが二ーチェが、それまで「教会」に束縛されてきた「肉体」――たとえば教会では伝統的に歌唱は許されたが、舞踊は許されず、マリアの処女懐胎によるイエスの出現が説かれたように、「肉体」は封じ込められてきた――にこそ、キリスト教の教えを超...
山本幸生

「西洋」について(3)(フランスに関して)

山本幸生 そこでまず現在私が「西洋」の中で一番興味を持っているのだというフランスについてであるが、とりあえず断っておきたいのは(まあどうでもいいことかもしれないが)先に「無関心と嫌悪」と言ったように、私はフランスに対して何か「憧れ」のような...
北條立記

言葉とは、思考と感覚を永く残すものである

北條立記 時が経てば忘れて消えてしまうかもしれない、人の思考や感覚を、永く残すのが言葉とそれを記した書物である。 ヘルマン・ヘッセは、絵画とは、一瞬で消えてしまう人の表情を永遠に残すものである、と言っているが、言葉も「思考」に対して同じ役割...