批評・論考

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『ギリヤークさんと大拙』試論(二)-2020年・横浜港公演をきっかけにして-

田中聡左がギリヤーク尼ヶ崎さん、右が筆者 本稿は、「まどか通信」フェニックス3月号に掲載された拙稿「『ギリヤークさんと大拙』試論(一)-2020年・横浜港公演をきっかけにして-」を引き継ぐものです。 前回は私がギリさんから直接お聞きしたお話...
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『ギリヤークさんと大拙』試論(一)-2020年・横浜港公演をきっかけにして-

田中聡左がギリヤーク尼ヶ崎さん、右が筆者【序章】〈0〉導入 2020年10月11日、横浜港は横浜大桟橋国際客船ターミナルの屋上で、午後2時からの1時間余り、大道芸人・舞踊家のギリヤーク尼ヶ崎さん(当時90歳)(以下、ギリさんと略す)が、新型...
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花と緑の癒し~「園芸療法」のお話〜(2)

柴沼敦子 今回は、園芸療法とはどういうものかについてお伝えします。 園芸療法を一言で簡単に説明するなら「花や野菜などの植物を用いて人の健康をサポートする」ということでしょうか。 もう少し詳しく専門的に説明するとこうなります。「園芸療法とは、...
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[特別寄稿]スサノヲと中上健次 あるいは嘆くボブ・マーリーと哭きいさちる中上健次(二)

矢崎秀行新宮の熊野灘に面した海岸に座る中上健次スサノヲと中上健次③ ボブ・マーリー、本名ロバート・ネスタ・マーリーは1945年2月、ジャマイカのセント・アン教区ナインマイルズに生まれた。中上より一つ歳上である。父親は英国生まれの白人、母(デ...
北條立記

芸術的欲求を遂げるには—3つのライトスケッチ—

北條立記 芸術活動を継続し、創作をより豊かにできるようにするための、自分の気づきや工夫を書いていきたい。美学とかそういう難解な話としてではなく、日常感覚で捉えた、しかし創作において意味あると思うもろもろの事柄である。高校生くらいの子にも刺激...
原田広美

*夢解きの始め方~『やさしさの夢療法』まえがき

原田広美◎自分の中のすばらしさに向かって、扉を開き続けようとする人々に本書を捧げます。 私達夫婦は夢のワークを始めて八年めになります。朝起きるとすぐに夢をノートに書きとめておく、「夢日記」を毎日書いています。夢は関心を持ち始めると、朝起きた...
山家誠一

笠井叡新作ダンス公演「『櫻の樹の下には』カルミナ・ブラーナを踊る」の笠井休演を巡って考えた事。

dav山家誠一 普通こういう事は、世の中的にはなかなかあり得ない話だと思う。2022年11月23日~27日の東京・吉祥寺シアターでの笠井叡新作ダンス公演「『櫻の樹の下には』カルミナ・ブラーナを踊る」で、その当の笠井叡自身が体調不良のため全日...
山本幸生

東洋「哲学」について(3)

山本幸生 東洋思想、という点について言えば、私はインド思想や仏教などに強く惹かれた時期もあった。特に「自分の中ですべてをいったん壊して、改めて作り直す」のだという禅の考えや、いわゆる「梵我一如」といったインドの古代思想については、「これこそ...
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【特別寄稿】蕪村の発句に於ける時間の考察(二)—子規と自然主義—

桝田武宗 近代俳句の始祖である正岡子規は、「俳句は写生であり、実景・実物の静止している状態を捉えて十七文字の形態に固定するのが基本である」と定義しました。 子規が、「俳句革新運動」を開始した明治二十年代は、日本の西洋化・近代化が急速に推し進...
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[特別寄稿]スサノヲと中上健次 あるいは嘆くボブ・マーリーと哭きいさちる中上健次(一) 

矢崎秀行新宮の熊野灘に面した海岸に座る中上健次スサノヲと中上健次① 1998年8月、吉増剛造は小説家の中上健次(1946~92)の和歌山県新宮市でいとなまれた七回忌に出席して、心のこもった追悼の詩を朗読した。以下の通りである。(わかり易いよ...
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反抗期とテクノポップについての覚え書き(2)—「型に嵌ること」をめぐって—

田中聡 私は2016年2月12日に、東京都現代美術館に『Tokyo』展を観に行った。 YMOという切り口から1980年代の東京をまず捉え、そこで得られたものが、現代の東京にどう引き継がれているのか? そんな視点を持ったこの展覧会で私が印象的...
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東洋医学とは何か——あるいは文化の壁について

糸数七重 東洋医学とは何か。 東洋医学、というよりは伝統医学というべきなのだが、ともあれ、私の考えるところを単刀直入に表現すると、それはすなわち「ものがたりの医学」「解釈の医学」そして「歴史に磨かれた医学」である。 東洋医学の対義語となる西...
小森俊明

芸術家と政治

小森俊明 新年となっても、気分が晴れなかった。昨年、自民党の岸田首相がいわゆる安保関連3文書を閣議決定したからである。日本を攻撃する可能性が高い相手国の領域を「反撃能力」という名の敵基地攻撃能力でもって攻撃する力を常時そなえることとなった点...
原田広美

*原田広美の『ハムレット/オフィーリア』、そしてグリム童話『蛙の王様、あるいは鉄のハインリッヒ』

原田広美(『オフィーリア』ミレー作より、部分) 夏目漱石(1867~1916)は、イギリスに官費留学する前には、松山中学や熊本五高で英語教師をした。熊本五高で教えたのは、鏡子と一緒になった新婚時代だ。少年時には、講談・落語や漢詩を好んだ漱石...
山本幸生

東洋「哲学」について(2)

山本幸生 実は、いわゆる「西洋哲学」の本を本格的に読み始める以前、私は中国思想にかなりハマっていた。諸子百家と言われる思想家たちのうち、岩波あたりで出ているものはほとんど読んだし、岩波になかった「墨子」などはハードカバーの単行本などを買って...
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[特別寄稿] 蕪村の発句に於ける時間の考察(一)―江戸時代に於ける時間の認識―

桝田武宗 俳句は、大前提として季語を詠み込むことになっています。季語は、暦と深く関わっているものであり暦は時を表します。また俳句は、時の流れの瞬間を捉えて景を詠むというもう一つの前提があります。私が、ここで書く時(時間)とは、「内在的時間」...
北條立記

今の人にとって、本は生きているか

北條立記 大量の出版物があるが、活字離れとも言われ、しかしネット空間に文章は溢れている。 沢山の書籍が出版され文章が書かれているにもかかわらず、それに見合う形では、社会が活性化されていないように見える。 その意味で、今の人にとって、本は生き...
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舞踏の即興、振り付け、作品について思うこと

長岡ゆり(Dance Medium主宰、舞踏家、振付家、演出家、鍼灸師) 今年(2022年)の秋、私はモダンダンサーの方に40分間のソロ作品を振り付けるというチャレンジをして、一応成功を収めたのだが、本来私は振付家というよりは、即興コラボを...
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内藤多仲―東京タワーリバイバル “無骨な鉄塔”から「記憶の再生装置」へ

矢崎秀行 改めて述べるまでもないが、構造建築家・内藤多仲(たちゅう)(1886~1970)は戦後日本を代表する建築家で、東京タワーの設計者である。 彼は明治19年山梨県中巨摩郡榊村(現南アルプス市曲輪田)に生まれた。旧制甲府中学、第一高等学...
小森俊明

音楽家が文章を書き、発表するということー自身の経験を振り返ってー

小森俊明 今はネットで文章を気軽に発表することなど当たり前のことになっているが、少し前まではそうではなかった。ネット媒体の発達云々以前に、話し言葉と比べて書き言葉は難しいと考えられていたことも、無論背景にはあったのかも知れない。しかし、この...