創造的エネルギーの獲得のために――ルーティーン化と驚き

山田 浩貴

プロンプト執筆:山田浩貴、画像作成:DALL·E by ChatGPT

 

 

世界があなたに語りかけることに開放的でなければならない。人生とは経験の流れ以外の何ものでもない――その流れの中を、より広く、そしてより深くそして泳げば泳ぐほど、人生は豊かなものとなる。(ミハイ・チクセントミハイ著『クリエイティヴィティ―フロー体験と創造性の心理学』浅川 希洋志、須藤祐二、石村郁夫訳)

 

チクセントミハイはハンガリー出身の心理学者。「創造性」「幸福」などについて研究を行った。

 

ここでチクセントミハイは、「創造的エネルギーを獲得するにはどうしたらいいか」を述べている。行動のもとになる精神について語る中で、「驚きをもって自分自身の日常を揺り動かせ」とも言っている。

 

擬似的なものも含めれば、情報化社会ではいろいろなものが、いながらにして「手に入る」ようになった。そんな時代だから、みずから一歩を踏み出し経験へと足を踏み入れることは貴重になってくる。

 

ふだん見ているものを違った角度から見たらどうなるか? 経験をふくらませ、驚きを手に入れることができるようになるかもしれない。

 

音楽作品を聴くにしても、「誰がどう見てもよくできているもの」だけでなく、無名かそれに近い作曲家を聴いてみると、驚きを得られるかもしれない。

 

驚きはある意味、非日常的なものといえるのだが、日常を生きる中で、驚きを日常のものとすることもできる。そのためには、なにかを創造すること(広い意味での創造。自分が生きている世界に何かをつけ加えたり、変えたりすること)もひとつの手だてであろう。

 

創造的な営みを日常化し、驚きを得るにはルーティーン化することが近道だ。ルーティーンというと四角四面にとらえられがちだが、自分に対して、どれだけ、創造するためのチャンスを日常的に与えられるかということである。

 

ルーティーン化した日常のなかでこそ獲得されていく「創造的エネルギー」がある。日常の中にいかに創造的な営みを組み入れるか。チクセントミハイが言う「驚きをもって自分自身の日常を揺り動かす」ことは可能である。

 

 

初出:『山田 浩貴――芸術の楽園』( 2021年7月23日)。初出の文章を加筆・修正。