まどろむ海月(西武 晶) 【詩画集Ⅳ】ある魔ものの伝説 まどろむ海月(西武 晶)昔々 限りない闇の中で 魔ものがまどろみ漂っていましたあるとき魔ものは 自分の混沌とした長いまどろみの中で 世界を夢見ましたすると 星空の下の世界が現れ やがて朝になり 陽が昇りましたこうして その魔ものは 光の下の... 2024.06.23 まどろむ海月(西武 晶)文学
まどろむ海月(西武 晶) 【詩画集Ⅲ 】エフェクト まどろむ海月もうずいぶん昔のことですが 雲になって しばらく漂っていたころ つめたい風にさらされて あてどなくさまよう 若い女性を見ました。騙されて身も心も傷ついた恋の鋭い痛みに われを失っているのでした。深い悲哀が 彼女の姿を霞ませ 体が... 2024.01.31 まどろむ海月(西武 晶)文学
まどろむ海月(西武 晶) 四つのファンタジー Ⅱ青空の神話 西武晶昔々 いつまでもいつまでも青空が続き ついに空の青さが星空のむこうにとどくほど 深く窮(きわ)まってしまったことがありました空は自分の痛々しいまでの青さのその窮みについにたえられなくなったかのように その孤高の極点に 真っ白な馬を生み... 2023.12.04 まどろむ海月(西武 晶)批評・論考
まどろむ海月(西武 晶) 四つのファンタジー Ⅰ黒犬 西武晶 「今度の遠足は、火山にしようと思うのだが……。」 「火山って、あの黒犬のですか!」 「そうだ。」 校長の硬い表情が、すこし上気しているのに気づいたが、ペータ教諭はすぐ、 「それは危険です。校長、あまりに冒険だと思います。あの火山は... 2023.12.04 まどろむ海月(西武 晶)批評・論考
まどろむ海月(西武 晶) 詩と写真「星空の出来事」Ⅰ~Ⅵ まどろむ海月(西武晶) Ⅰ夜の頁星空からあなたは振り返る 貴女はふりかえる ともしびに重なる微笑み 細い指先星座へと続く階梯は途絶えたままこの小雨のように降りしきるものは何なのか 白い小径の途上で かさねた出逢い かわされた言葉 真紅の花吹... 2023.08.07 まどろむ海月(西武 晶)文学
まどろむ海月(西武 晶) 詩と写真『ユーモアの森から』 まどろむ海月 1 夜と私夜がやって来た挨拶がわりに手元にあったまたたびをさしだすとなんと 長い舌を出して べろっとなめ取った裏返しになってよだれを流しでろでろになったところを見るとどうやら 夜は 猫科らしいのが知れたしきりに もっとくれろと... 2023.07.02 まどろむ海月(西武 晶)文学
まどろむ海月(西武 晶) 詩画集『春の頂から』ー君のいる風景 Ⅳ まどろむ海月(西武 晶)深まる夕闇の中で水底まで透きとおった滑らかな黒の湖水に斜めにさし通した櫂から膨らむ波紋 滴る雫が清澄の音階に流れつづけ・・静かに進む二人きりの小舟君の影が波璃に映った伝説の少女の白い指ようにああ 満天の星空が湖底から... 2023.04.02 まどろむ海月(西武 晶)文学
まどろむ海月(西武 晶) 詩画集『春の頂から』ー 君のいる風景Ⅲ まどろむ海月見上げた月は 皓々として雪景色の深い谷の 底にまで光を落としていた白い中空の湯のなかで魚のように戯れたね紺青の空に 雲高原の蒼空を何日も さまよった大空の神聖な変貌永遠の高みへの憧れと祈りその彼方に君はいた息遣いが感じられる身近... 2023.02.28 まどろむ海月(西武 晶)文学
まどろむ海月(西武 晶) 詩画集『春の頂から』ー 君のいる風景Ⅱ まどろむ海月午前の森の中に七つの池を巡ったエメラルド色を湛えた 太古の静寂はやさしい風をふくむたび燦めく微笑みを見せた僕たちの前の 永遠の現場蒼空の中には 白い幻のようにわきおこる思いと とめどないあこがれがその影を落としてゆく・・・空 か... 2023.02.20 まどろむ海月(西武 晶)文学
まどろむ海月(西武 晶) 詩画集『春の頂 から』 まどろむ海月透明な道で すれちがった時ささやいたのは 君だったのか…「幸せの頂を見るのが 春の役目だ。」と長い旅姿のままの 私の冬(かなしみ)よ水面の きらめきが 遠くから 広がった扇のように くりかえし くりかえし君の 遠い視線に ささや... 2023.01.30 まどろむ海月(西武 晶)文学
まどろむ海月(西武 晶) 詩画集『夏の楽譜』 まどろむ海月・詩、田中義之・イラストⅠ誰が投げたか 空の底に小石が一つ果てのない青い花の野に生まれたばかり白の風紋は旅立つそれは水溜りに揺れる夏の楽譜 硝子のまぶたに透ける午後昼の月は淡く微笑む飛ばした紙飛行機に 少年自身が乗っていて誰も傷... 2022.11.20 まどろむ海月(西武 晶)文学田中義之