エッセイ 私の裏金受取り未遂事件 野原広子 道の真ん中で50がらみの紳士に、茶封筒を渡すと、「ちょっと時間ある?」と気弱な笑顔を向けられた。「いえいえ」と後ずさりをする私に、彼は黒い財布を開くそぶりをしながら「お小遣いあげようか?」と言う。 正直、ぐらっときた。と、同時に... 2024.07.10 エッセイ野原広子
エッセイ イタリアの列車で、はい、お手をどうぞ。ドンパン節! 野原広子 「どんどんパンパンどんパンパン。どどパパ、どどパパ、どんパンパン、とくらぁ」 ドンパン節の一節を私は手拍子を入れて大きな声で歌っていた。私ひとりではない。日本のお座敷でもない。1984年の秋、ナーポリからパレルモに向かう長距離列車... 2024.01.30 エッセイ野原広子
エッセイ 欧州バス旅 野原広子 もうガマンも限界。この身体の奥底からこみ上げる欲望を、今夜こそ叶えてやる。そんな衝動でしでかすとロクなことにはならない。だけどこれほどの惨劇になるとは‥‥。逃げるか。どこへ? あれは初めて海外旅行に行ったときだから結婚2年目の秋で... 2023.12.04 エッセイ野原広子
エッセイ 猫とピアニスト 野原広子 19年3ヶ月暮らした飼い猫の三四郎が亡くなって、もう4年もたつのね。その前後に弟と父親、母親が立て続けに亡くなったので、悲しいとか喪失感とかにひたっている間がない。 それが先日、YouTubeで辻井伸行くんのラ-カンパネラをなんの... 2023.10.09 エッセイ野原広子
エッセイ 怖くて愛しい沖縄、座間味島 野原広子 沖縄は怖いところ。特に離島はうかつに行くもんじゃない。実際、何度か仕事で訪れたけれど本島を駆け足で通り過ぎるだけ。私に強烈な爪痕を残したあの島には決して近づかなかった。 私が初めて沖縄に足を踏み入れたのは、フリーライターになりたて... 2023.07.04 エッセイ野原広子
エッセイ 愛と夢と冒険と 欧州の美容院探訪記 野原広子 茨城の農業高校を卒業した18才の私が上京した目的は、愛と夢と冒険と。この3つにつきる、なーあんてね。キャッ。近所の安カフェ、ベローチェでパソコンをぱちぱちしながら顔から火が噴いたわ。 で、最初からぶっちゃけちゃうと3つの中でいちば... 2023.06.10 エッセイ野原広子
エッセイ 泥沼人生にも限界が来る。私がパリで決別したこと。 野原広子 「野原さん、今どちらにいるの?」電話の主はわが洋裁の師のY先生! 4月27日から3日間、東京ビックサイトで開催されているホビーショーに出店しているから遊びに来ない?というお誘いだ。 実は私、震災の少し前に池袋駅前のカルチャーセン... 2023.05.04 エッセイ野原広子
エッセイ わがアルバイト人生すごろく〜2 野原広子 ヤングケアラーならぬヤングワーカーで、7才から小遣い賃稼ぎをしてきた私が上京して靴屋の店員になり、その後、いくつかの幸運をつなげて週刊誌の記者になって45年。思えば気の遠くなるような長い月日が流れたんだね。 ライターとして女性週刊... 2023.04.02 エッセイ野原広子
エッセイ わがアルバイト人生すごろく〜1 野原広子 私は児童労働者だった、なんていうと次に続く言葉は「児童虐待」かしら。いやいや、そんなことを言いたいんじゃないんだけどね。 私がお隣りのおじさんからたばこ買いを頼まれて「はい、おだちん」と手の上に10円玉を乗せてもらったのは小学1年... 2023.03.05 エッセイ野原広子
エッセイ オバ記者流、借金と生き方講座 野原広子なんてタイトルをつけたはいいけど、ひゃひゃひゃ、いきなり恥ずかしいわ。65才の今まで貯金らしい貯金をしたことがなくて、あるのは瞬時に答えられる残高だけ。「何を語る気になってんのよ。貧乏人がえらそーに!」と言われたらハイ、それまでよ、... 2023.01.31 エッセイ野原広子