北條立記
「インクルーシブ」とは、「包み込む、排除しない」という意味の、「新しい社会の方向性を表す言葉」です。
この概念は、「バリアフリー」の発展形の言葉と捉えると、わかりやすいと思います。
バリアフリーといえばご存知の通り、お店や駅、建物など街中において、主に身体障がいの方が、物理的に不自由なく移動できるよう配慮することです。日本では主にそういうイメージで使われている言葉だと思います。
バリアフリーという言葉は、1974年に国連の会議で使われたのが始まりとされます。日本では耳にしたことのない人がいないくらい、よく知られた言葉です。「心のバリアフリー」という表現も使われます。
そして、内容的にその発展形の意味を持つ言葉として「ノーマライゼーション」「インクルーシブ」があります。
「ノーマライゼーション」とは、「障がい者を特別視せず、障がいがある状態を標準に考えて、社会を作ること」を指します。
実際には言葉としては、「ノーマライゼーション」は1950年代にデンマークで提唱されていたそうです。しかし、日本で使われはじめるようになったのは、ごく最近のことですよね。
「ノーマライゼーション」は「障がいを特別視しない」のが根本思想といえます。
そして「インクルーシブ」は「排除しない」という意味なので、
「障がいの有無にかかわらず、分け隔てなく、垣根なく」
というニュアンスを持ちます。このニュアンスは、「ノーマライゼーション」も同じです。
最近、街中でも「障がいの有無、国籍、性別などにかかわらず」という表現が見られるようになったと思います。
そのように、「インクルーシブ」や「ノーマライゼーション」は、障がいだけを対象にしない、より範囲を広げ、「多様性(ダイヴァーシティー)」を包み込む、そういう考え方になります。
筆者の参加するインクルーシブコミュニティー「Jasmine Factory」は、そのインクルーシブという考えに基づき、本年(2023年)7月に、神奈川県川崎市にて、舞台パフォーマンスのフェスティバルを開催します。
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▶︎開催概要
「りれいしょん〜聴いて!観て!みんなで創るフェス!〜」
開催期間:2023年7月24日(月)〜2023年7月30日(日)
会場:溝ノ口劇場(〒213-0011 神奈川県川崎市高津区久本3丁目1-5 ミュージション溝の口 B1F)
入場料:昼部2,500円、夜部3,000円(要1ドリンクオーダー *来場者、出演者共)
*障害者手帳をお持ちの方は、入場料を割引できるようにしたいと思っております
クラファン:Campfire
主催:ジャスミンファクトリー
このフェスには、3つの理念があります。
1 「アートにおけるノーマライズ化」
アーティストが、障がいのあるなしにかかわらず、同じ土俵で発表できるイベントとして開催。
障がいあるお客さんが、バリアフリー、手話、「音楽の可視化」により、イベントに参加しやすくします。
そうして、障がいのある状態に基準を置いて、そこから社会を作る取り組み(ノーマライゼーション)として、イベント運営を行います。
2 「音楽の可視化の取り組み」
聴覚障害者も、音楽を「観て」楽しめるように。
その手法は、手話とダンスによる「歌や音楽の可視化」です。
歌詞を配り、音楽に合わせた手話とダンスにより、音楽を「見て」楽しんでいただけます。
「ありがとう」の手話は、相撲の手刀を切る仕草に由来します。
そうした手話のやり方のレクチャーも行われます。
3 「障害者アート」が表すものを広げていく
日本の「障害者アート」は、現状、絵画・美術の分野に限定される傾向があります。
本フェスティバルでは、音楽とダンスなど舞台表現にも広げて扱い、「障害者アート」の内容を広げる取り組みとして、先駆的な社会的意義があると考えています。
このような理念のもととなるのは、個性のある人々で社会が構成されている(インクルーシブ)という考え方です。本フェスティバルは、このような考えに基づき、運営します。
現在、Jasmine Factoryでは、フェスの運営資金を集めるため、クラウドファンディングを開始しております(2023/6/20締切)。
主旨にご賛同してくださる方は、下記のクラファンページもご覧の上、ご支援いただけますと、幸いです。
どうぞよろしくお願いいたします。
Campfireクラウドファンディング
「聴いて!観て!みんなで創るフェス!楽しく生きられるインクルーシブな社会を目指す!」
参考
・ノーマライゼーションとインクルーシブの違いとは?日本のインクルーシブ教育の課題(Fukushi.NEWS)
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