批評・論考

批評・論考

【特別寄稿】蕪村の発句に於ける時間の考察(五) —経過という時間—

桝田武宗  四五人に月落ちかかる踊かな  この句は、秋の盆踊りを楽しんでいる情景を詠んだものだと解釈している人が多いと思います。しかしこの句は、そのように表面的な景を詠んだ句ではありません。  先ず、時間的な面から書きますと、キーワードは、...
山本幸生

「西洋」について(2)

山本幸生  前回触れた、その「最後のピース」であったところの「フランス(特に哲学)」というものについていうと、まず最初の「出会い」はドゥルーズという哲学者の本だった。たぶん一番はじめに読んだのは「アンチ・オイディプス」という(結構有名な)本...
原田広美

『漱石の〈夢とトラウマ〉』はじめに(前半)

原田広美  「弱者」としての自分を、自分に内在するトラウマを「夢の生成」と「冒険心」をもって癒そうとするすべての人々に本書を捧げます。 —また、そうした姿勢を最期まで貫こうとした作家・漱石へ。  あるいは「精神(神経衰弱)」および「肉体(胃...
北條立記

観劇の感激を呼ぶ作法—音楽と裏方の「体験」があるダンス公演—

北條立記  2023/4/22藤村巷平プロデュースダンス公演「PreDanceMusic」@神奈川県立青少年センターHIKARIを観劇して  開演してからリノリウムを引く、椅子を置く、ステージに照明卓があって演者が操作しながら公演が進む……...
小森俊明

「教授」(坂本龍一)を悼む

小森俊明 「教授」(坂本龍一)が逝去してから1ヶ月ほど経つが、インターネット・メディアを中心に、その音楽的業績と政治・社会に関する活動の足跡について盛んに記事が書かれている。名実ともに20~21世紀の日本を代表する世界的アーティストであるこ...
批評・論考

『ギリヤークさんと大拙』試論(三)-2020年・横浜港公演をきっかけにして-

田中聡 左がギリヤーク尼ヶ崎さん、右が筆者 〈5〉「個人的生命の宇宙的生命に対する関係を感得す。」     大拙(=鈴木大拙)、そしてギリさん(=ギリヤーク尼ヶ崎)の中には、東洋的な「一」とも言うべきものが脈打っている。  そしてそれはまず...
原田広美

癌再発から100才まで生きたハルプリン、精神分析とセラピー~電子書籍版『やさしさの夢療法』あとがき(後半)

原田広美  今年(2021)年5月に、100歳の天寿をまっとうして逝去したハルプリンでしたが、40代には自身も癌を発病して切除手術を受けたものの、5年後には再発に見舞われました。しかし再発後は、手術や化学療法を手放し、若い頃から探求し、ゲシ...
批評・論考

【特別寄稿】蕪村の発句に於ける時間の考察(四)―不可逆という時間―

桝田武宗  前回まで「時間の認識」「自然主義」「モンタージュ」について書いて来ました。今回からの四回は、蕪村の句を例に挙げながら句に詠み込まれた時間の分析について書いて行きます。   秋の空きのふや鶴を放ちたる   凧(いかのぼり)きのふの...
山本幸生

新連載「西洋」について(1)

山本幸生  あまりにもテーマが大きすぎるので、とりあえず私自身と「西洋」というものとの個人的な関わり、というあたりから語り始めてみたい。  私の大学での専門は数学だが、当時の私は西洋という点に関していうと、ごく素朴な、さらに言えば、かなり幼...
山家誠一

舞台覚え書き『ストーリーを消滅させた身体の強度』

山家誠一  以下は会場でのアンケートとして書いたものです。 山家誠一 2023-4-7  DA・Mの公演を見るのは久し振りだった。「襲撃・Red carpet」(2023.3.26.東京・高田馬場 プロト・シアター)はキューバの反体制作家レ...