- 【特別寄稿】蕪村の発句に於ける時間の考察(三)―俳句とモンタージュ―
桝田武宗 今や俳句と映画制作に於けるモンタージュ(編集)が大きく関わっているということは常識になっていますが、簡単に説明しておきます。 モンタージュ理論は、ソ連の映画監督・セルゲイ・エイゼンシュタインが提唱した映像編 […]
- 電子書籍版『やさしさの夢療法~自分を癒して育てるゲシュタルト・ワーク』あとがき(上)
原田広美 本書は、母による抑圧などを契機に、成人後も自信喪失や孤独感が解消できず、加えて管理体制の強い職場への勤務による鬱や、夫のモラトリアムなどに悩んだ私が、学生時代からの心身の解放と自己表現、および二〇代全般を通じ […]
- 東洋「哲学」について(4)
山本幸生 私の場合、「インド系統」後において、イスラム系やユダヤ思想関連、更には日本思想などもいくつか通過してから、ようやく「西洋哲学」というのに本格的に取り組むようになり現在に至る、ということだが、ここはあくまで「東 […]
- [特別寄稿]スサノヲと中上健次 あるいは嘆くボブ・マーリーと哭きいさちる中上健次(三)
矢崎秀行 スサノヲと中上健次⑤ けれども、ジャマイカのトレンチタウンと新宮の路地には大きな違いがあった。負を負った被差別地域であることは共通するものの、トレンチタウンは今なお続く被差別の貧民街だが、新宮の路地は中上がマ […]
- 『ギリヤークさんと大拙』試論(二)-2020年・横浜港公演をきっかけにして-
田中聡 〈3〉命は「限りがあって限りがない」。 更に思い起こせば、 2019年のTBSの『88/50 ギリヤーク尼ヶ崎の自問自答』というテレビドキュメンタリー番組(本文の下に、その番組のYouTube映像のリンクを貼り […]
- 『ギリヤークさんと大拙』試論(一)-2020年・横浜港公演をきっかけにして-
田中聡 【序章】 〈0〉導入 2020年10月11日、横浜港は横浜大桟橋国際客船ターミナルの屋上で、午後2時からの1時間余り、大道芸人・舞踊家のギリヤーク尼ヶ崎さん(当時90歳)(以下、ギリさんと略す)が、新型コロナウ […]
- 花と緑の癒し~「園芸療法」のお話〜(2)
柴沼敦子 今回は、園芸療法とはどういうものかについてお伝えします。 園芸療法を一言で簡単に説明するなら「花や野菜などの植物を用いて人の健康をサポートする」ということでしょうか。 もう少し詳しく専門的に説明するとこう […]
- [特別寄稿]スサノヲと中上健次 あるいは嘆くボブ・マーリーと哭きいさちる中上健次(二)
矢崎秀行 スサノヲと中上健次③ ボブ・マーリー、本名ロバート・ネスタ・マーリーは1945年2月、ジャマイカのセント・アン教区ナインマイルズに生まれた。中上より一つ歳上である。父親は英国生まれの白人、母(デボラ・ブッカー […]
- 芸術的欲求を遂げるには—3つのライトスケッチ—
北條立記 芸術活動を継続し、創作をより豊かにできるようにするための、自分の気づきや工夫を書いていきたい。美学とかそういう難解な話としてではなく、日常感覚で捉えた、しかし創作において意味あると思うもろもろの事柄である。高 […]
- *『やさしさの夢療法~夢のワークと心の癒し』まえがき
原田広美 ◎自分の中のすばらしさに向かって、扉を開き続けようとする人々に本書を捧げます。 私達夫婦は夢のワークを始めて八年めになります。朝起きるとすぐに夢をノートに書きとめておく、「夢日記」を毎日書いています。夢は関心 […]
- 笠井叡新作ダンス公演「『櫻の樹の下には』カルミナ・ブラーナを踊る」の笠井休演を巡って考えた事。
山家誠一 普通こういう事は、世の中的にはなかなかあり得ない話だと思う。2022年11月23日~27日の東京・吉祥寺シアターでの笠井叡新作ダンス公演「『櫻の樹の下には』カルミナ・ブラーナを踊る」で、その当の笠井叡自身が体 […]
- 東洋「哲学」について(3)
山本幸生 東洋思想、という点について言えば、私はインド思想や仏教などに強く惹かれた時期もあった。特に「自分の中ですべてをいったん壊して、改めて作り直す」のだという禅の考えや、いわゆる「梵我一如」といったインドの古代思想 […]
- 【特別寄稿】蕪村の発句に於ける時間の考察(二)—子規と自然主義—
桝田武宗 近代俳句の始祖である正岡子規は、「俳句は写生であり、実景・実物の静止している状態を捉えて十七文字の形態に固定するのが基本である」と定義しました。 子規が、「俳句革新運動」を開始した明治二十年代は、日本の西洋 […]
- [特別寄稿]スサノヲと中上健次 あるいは嘆くボブ・マーリーと哭きいさちる中上健次(一)
矢崎秀行 スサノヲと中上健次① 1998年8月、吉増剛造は小説家の中上健次(1946~92)の和歌山県新宮市でいとなまれた七回忌に出席して、心のこもった追悼の詩を朗読した。以下の通りである。(わかり易いように少し簡略化 […]
- 反抗期とテクノポップについての覚え書き(2)—「型に嵌ること」をめぐって—
田中聡 私は2016年2月12日に、東京都現代美術館に『Tokyo』展を観に行った。 YMOという切り口から1980年代の東京をまず捉え、そこで得られたものが、現代の東京にどう引き継がれているのか? そんな視点を持った […]
- 東洋医学とは何か——あるいは文化の壁について
糸数七重 東洋医学とは何か。 東洋医学、というよりは伝統医学というべきなのだが、ともあれ、私の考えるところを単刀直入に表現すると、それはすなわち「ものがたりの医学」「解釈の医学」そして「歴史に磨かれた医学」である。 […]
- 芸術家と政治
小森俊明 新年となっても、気分が晴れなかった。昨年、自民党の岸田首相がいわゆる安保関連3文書を閣議決定したからである。日本を攻撃する可能性が高い相手国の領域を「反撃能力」という名の敵基地攻撃能力でもって攻撃する力を常時 […]
- *原田広美の『ハムレット/オフィーリア』、そしてグリム童話『蛙の王様、あるいは鉄のハインリッヒ』
原田広美 夏目漱石(1867~1916)は、イギリスに官費留学する前には、松山中学や熊本五高で英語教師をした。熊本五高で教えたのは、鏡子と一緒になった新婚時代だ。少年時には、講談・落語や漢詩を好んだ漱石は、英文学を志し […]
- 東洋「哲学」について(2)
山本幸生 実は、いわゆる「西洋哲学」の本を本格的に読み始める以前、私は中国思想にかなりハマっていた。諸子百家と言われる思想家たちのうち、岩波あたりで出ているものはほとんど読んだし、岩波になかった「墨子」などはハードカバ […]
- [特別寄稿] 蕪村の発句に於ける時間の考察(一)―江戸時代に於ける時間の認識―
桝田武宗 俳句は、大前提として季語を詠み込むことになっています。季語は、暦と深く関わっているものであり暦は時を表します。また俳句は、時の流れの瞬間を捉えて景を詠むというもう一つの前提があります。私が、ここで書く時(時間 […]
- 今の人にとって、本は生きているか
北條立記 大量の出版物があるが、活字離れとも言われ、しかしネット空間に文章は溢れている。 沢山の書籍が出版され文章が書かれているにもかかわらず、それに見合う形では、社会が活性化されていないように見える。 その意味で […]
- 舞踏の即興、振り付け、作品について思うこと
長岡ゆり(Dance Medium主宰、舞踏家、振付家、演出家、鍼灸師) 今年(2022年)の秋、私はモダンダンサーの方に40分間のソロ作品を振り付けるというチャレンジをして、一応成功を収めたのだが、本来私は振付家とい […]
- 内藤多仲―東京タワーリバイバル “無骨な鉄塔”から「記憶の再生装置」へ
矢崎秀行 改めて述べるまでもないが、構造建築家・内藤多仲(たちゅう)(1886~1970)は戦後日本を代表する建築家で、東京タワーの設計者である。 彼は明治19年山梨県中巨摩郡榊村(現南アルプス市曲輪田)に生まれた。 […]
- 音楽家が文章を書き、発表するということー自身の経験を振り返ってー
小森俊明 今はネットで文章を気軽に発表することなど当たり前のことになっているが、少し前まではそうではなかった。ネット媒体の発達云々以前に、話し言葉と比べて書き言葉は難しいと考えられていたことも、無論背景にはあったのかも […]
- 反抗期とテクノポップについての覚え書き(1)ー「型に嵌ること」をめぐってー
田中聡 今自分(1969年生まれ)が思索し、模索していることの起源は、自分の10歳位から17歳位の時期の精神的遍歴にある。 時々自分が何者か、分からなくなる時、そうした起源をもう一度十分に吟味 […]
- 実体験を踏まえた共生社会における現存在の本来性について
onetree アダルトチルドレン・HSPの現象学・逃走論サバイバルではなくリカバリーへ 楽園は自分の中にある。もしくはあった。 実存主義の先駆者はデンマークの哲学者キルケゴールで有名です。この文章の前置きとして、両親か […]
- 東洋「哲学」について(1)
山本幸生 西洋と東洋という区分けは既にかなりカビだらけになっているが、それでもやはりそこかしこで依然いろいろと思い当たる部分がないわけでもなく、まだ完全に「死んでいる」とは言えないだろうと思われる。 先にどこかのネット外 […]
- 『トーテムとタブー』 付 フロイトの思想形成の謎
田高孝 どうしても、この本が、気になる。個人的には、人類学のきっかけとも思うし、近年的には、ジラールが、再考していて、重要視している気がする。別に、人に影響されて読んだ覚えはない。本家、精神分析として、かなり以前に、読ん […]